日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、定年後の不安にまつわるモヤモヤエピソードです。

 


定年後が今から不安


エピソードをお寄せくださったのは、仕事に生きがいを感じているクニエさん(53歳・会社員)。


短大を卒業して以来、生まれ育った土地の企業でずっと働いています。仕事が好きだったので、当時には珍しく産休・育休をもらって仕事を継続。40代で夫のモラハラに悩んだ時も、仕事があったおかげで離婚できました。

そして気づけば50代に。私の職場では、多くの人が60歳を定年として退職します。今後はもっと長く働く人も増える可能性もありますが、もう定年が見えてきたと思うとふと不安になります。

仕事をしていると楽しいことばかりではありません。それでも、多くの人間関係と刺激を与えてくれる場所であることは間違いなく、自分の存在が社会に役立っていると実感できます。離婚で大変だったときも、思春期の子どもに悩んだときも、出勤すれば気分を切り替えて自分に自信が持てました。

少しずつ老化を感じるようにはなってきましたが、私はまだまだ元気。それなのに、あと7年で60歳なんですね……。その後もまだ働いても周囲に迷惑と思われないかな? それとも違う仕事を探す? 思い切って何か勉強してみる? いやいやしばらくゆっくりする? 夜になるといろいろ考えてしまいます。職場にしがみつこうとするのは若い世代の迷惑になるのかな……なんて落ち込むことも。

周囲には同じようにずっと仕事をしてきた友人が少なく、悩みを共有できないのも残念です。職場の人に相談してみたいですが、私より若い彼らを困らせたくない……。

私としては、まだまだ60代も70代も働きたい。お金のことももちろんありますが、社会や地域と繋がっていたいんです。今まで通り普通に職場で働いていても、終わりは決まってるんだなと思うと辛いです。

 


個人の「不安」は、社会を変えるきっかけ

 

クニエさん、恐らく勤続30年以上でしょうか。一つの職場にそれほど長く勤務されて、貢献のほどはどれだけ大きいのだろうか……。心から尊敬します。

そして、そんな人にも無条件で迫ってくるのが定年制度ですよね。一昔前ならいざ知らず、今の60代・70代は本当に元気。経験豊富なベテランが職場を去ってしまうのは大きな損失だと思います。労働人口の減少、職場の人手不足があちこちで叫ばれていますから、今後この問題が是正される施策が打たれていくことに期待したいですね。

社会を変えていくのは、会社の経営者や首長、政治家だけではありません。私たちのような個人が声を上げていくことも大切です。クニエさんは、「私が不安を口にすることで、周囲を困らせたくない。きっと共感してもらえない」と思っているのかもしれませんが、むしろできるだけ周囲には伝えた方がいいのではないかと思います。

 
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