平凡で幸せに暮らしていたサラリーマンが、殺人を犯して半グレ集団に追われる修羅の道をつき進む。それは愛する娘のためだった。
佐々木蔵之介さん主演でこの秋にドラマ放映&来春に映画化という異例のメディア化となった『マイホームヒーロー』は、登場人物の狂気におののき、息もつかせぬクライムサスペンスです。

『マイホームヒーロー』(1) (ヤンマガKCスペシャル)


反社勢力の男を殺害してしまったサラリーマン


家族を愛するごく普通の中年サラリーマンの鳥栖哲雄(とりす てつお)。彼はある日、大学生の娘・零花の顔に殴られた痕があるのに気づきます。
娘の住むアパートをこっそり訪ねると、麻取延人というガラの悪そうな男と付き合っていること、彼が過去に女性を殺した危険な人間だということを知り、驚愕!
彼は娘を守るため、衝動的に延人を殴り殺してしまうのです⋯⋯。

 

殺害の現場に妻・歌仙が訪問してきますが、彼女はしれっと死体遺棄をすすめてくるという驚きの展開に。

趣味でミステリー小説を書くのが好きという一面を持つ哲雄は、妻と協力しながらミステリーの知識を総動員して死体を処理することに。

しかし、殺した延人という男は半グレのメンバーで、組織の上層部である詐欺師・麻取義辰の息子でした。

半グレの仲間たちが血眼になって捜索しはじめ、リーダー格の恭一は哲雄のことを疑い出します。

そして、娘にも、彼氏を殺したことを気づかれるわけにはいきません。こうして、哲雄夫婦と、半グレ集団の攻防戦がはじまるのでした。

まず、しょっぱなから、娘の彼氏を殺害するというグロテスクな設定におののきます。で、姿が見えない延人の行方を必死に探す反グレたちとの静かな攻防戦がとってもスリリングで、ヒヤヒヤする展開です。

こんな作品がドラマ化されるというのですから、早速キャスティングをチェックしてみました。

 

ドラマの配役がぴったりすぎる!


娘が大好きでちょっと気弱なサラリーマンだったのに、「一番殺ってはいけない人を殺ってしまった」ことを必死で娘に隠し通す哲雄は、佐々木蔵之介さん。

 

父に溺愛される娘は、齋藤飛鳥さん。

 

夫が殺人を犯したというのに妙に冷静なところが怖い妻は、木村多江さん。

 

哲雄に殺された半グレの麻取延人は、内藤秀一郎さん。延人のキャラが人でなしすぎて、内藤さんだけはちょっとこれまで演じてきた役柄からは想像できないのですが、きっと豹変して演じてくれるのでしょう。⋯⋯冒頭から殺されてしまいますが!

 

そして哲雄夫婦を追い込む半グレ集団側の、いくつ人格持ってるんだよ!? な底知れぬ恐ろしさが常人のものではなさそうな麻取義辰(まとり よしたつ)は、吉田栄作さん。個人的には再現度ナンバーワンな配役。

 

その息子で半グレ集団のリーダーである麻取恭一は、ジャニーズ「なにわ男子」の高橋恭平さん。

 

実写版では、目の奥が笑ってないようなメンバーが多くて、当然、ドラマより本作の連載が先なのですが、実写に寄せてきてる? と思うほどぴったりな配役なんですよね〜。

あと大きな見どころとしては、哲雄が、趣味の推理小説執筆で培った遺体処理のアレコレを料理レシピみたいなノリで細かく紹介するのもなかなかの狂気⋯⋯!

 

「マイホームヒーロー」という割に、哲雄のやっていることはなかなかのエグさ。正気ではとてもじゃないけどできないでしょう。哲雄が善、半グレ集団が悪だと思い込んで読むと、「あれ?」という違和感と恐怖が押し寄せてきます。主人公の中に元からあった狂気が、殺人をきっかけに溢れ出てくるように思える本作、この秋、ぜひドラマと一緒に読んでみてください。

 

『マイホームヒーロー』第1話を試し読み!
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<作品紹介>
『マイホームヒーロー』
山川 直輝 (原著), 朝基 まさし (著)

鳥栖哲雄は、一人娘・零花を愛するしがない会社員。 ある日、彼は零花の顔に殴られた痕を見つける。 誰にやられたのかと問い詰めても、零花ははぐらかすばかり。 その帰り道、哲雄は犯人らしき男を見つけ、後を付けていく。 しかし、それが家族の運命を変える事件の始まりだった。 父は娘のため、家族のため、修羅の道へと歩き出す。 『100万の命の上に俺は立っている』山川直輝×『サイコメトラー』朝基まさしが贈るジェットコースター・クライム・サスペンス!

作者プロフィール 

山川直輝(原作) :

「別冊少年マガジン」にて『100万の命の上に俺は立っている』を連載中。

朝基まさし(漫画):
大阪府生まれ。デビュー:『大樹のマウンド』(マガジンSPECIAL)。コミック ス:『大樹のマウンド』全5巻、『サイコメトラーEIJI』全25巻、『クニミツの政』全27巻、『クニミツの政 立志編』全1巻、『シバトラ』全15巻、『ブラックアウト』全4巻。『クニミツの政』で第27回講談社漫画賞・少年部門受賞。


構成/大槻由実子
編集/坂口彩