最近よく聞く「リスキリング」という言葉。今働いているだけで精一杯なのに、個人で学び直ししろと言われても……と戸惑う方も多いのではないでしょうか。一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事の後藤宗明さんは、リスキリングという言葉が日本では誤解されている部分が多い、と話します。リスキリングの本来の意味って? リスキリングするにはどうしたらいいの? そんなリスキリングに関する素朴な疑問について、後藤さんと国家資格キャリアコンサルタントでもある川良編集長が語り合います。

 

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「リスキリング=個人の努力」は大きな間違い。リスキリングに取り組むべきは誰なのか?【後藤宗明×川良咲子】>>

 

「外の世界」を見ることから始めよう


川良咲子編集長(以下、川良) 「リスキリング」の重要性が色々なところで叫ばれている中、「10年後の私は何をしてるだろう」「この仕事のままでいいのかしら」と、漠然と不安を抱えている方って少なくないと思うんです。

後藤宗明さん(以下、後藤) 不安の最大の解決策は、「どんな仕事が自動化されていくのかをきちんと知ること」。これは、私がまさに40歳のときに実践したことでもあります。デジタル分野に移行するために自分でリスキリングをした際、AIにできること・できないことを把握することができました。さらに、AIの進化をずっと観察してきたので、この先どのように進化するかも何となくイメージができる。そうすると、外部環境の変化に合わせて自分をどうアップデートすればいいかが見えてくる。アップデートの方向性が見えると、不安とも一旦距離を置けるようになるんです。

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 後藤宗明さん(写真左)と、mi-mollet編集長/国家資格キャリアコンサルタント 川良咲子。

後藤 不安だとおっしゃっている方の中には、今いる環境の「外の世界の情報」をあまり知らないことが、漠然とした不安を生み出している印象を受けます。普段の仕事とは関係がない「外の世界」で何が起きているのか、正しく情報収集することはとても大事なんです。

川良 どうやって情報収集していくといいでしょうか?

後藤 リスキリングに成功した方、リスキリングに取り組んでキャリアチェンジをした方の話を聞きに行くといいと思いますね。私も経験があるのですが、「不安な状態」というのは、ある意味「心がひま」な状態でもあると思います。やることや仕事たくさんあれば、不安なんて感じている場合じゃない。だから、不安な方には「圧倒的に行動量を増やす」ことをいつもおすすめしているんです。