印象派を代表する画家のひとり、クロード・モネ(1840-1926)の作品が、約70点集められた「モネの作品だけ」という贅沢な展覧会「モネ 連作の情景」。昨年10月から東京・上野の森美術館で開催され大好評だったこの展覧会が、いよいよ大阪中之島美術館で始まります。
キュレーターとして活躍する林綾野(はやし・あやの)さんによるものがたり絵本『ぼくはクロード・モネ』(え・たんふるたん)では、今回の展覧会で出品されている作品も多く取り上げられています。展覧会に足を運ぶ前に、絵本でモネの人生を知り、より身近に展覧会を楽しんでみませんか。会期中には「モネ ジヴェルニーの庭と食卓」のテーマで、林さんの講演会も予定されています。
※この記事は、2023年10月24日に公開した「東京展」の記事の再掲載となります。日程ほか大阪中之島美術館での開催情報は、記事の最後をご確認ください。
船上アトリエでの幸福な日々
1871年、31歳のモネは、パリから10数キロのアルジャントゥイユという町に庭のある家を借ります。
ここにはルノワールやマネといった仲間も訪ねて来て、セーヌ川に船上アトリエを浮かべ、いっしょに絵を描きました。アトリエ船は、ボートの上に小屋を設えたもの。川面や水辺の風景を描き、それは画家としての幸福な日々でした。
“印象をそのまま描く”旅先での制作
1883年、終の棲家となるジヴェルニーに転居してから、モネはエトルタやアンティーブなどへ旅をして絵を描きました。ノルマンディー地方のエトルタは断崖と奇岩で有名な海辺の景勝地。モネは1883年から86年にかけて毎年この地で制作をしました。
モネの望みは、輝く風景から受ける印象をそのまま描くこと。影の部分にも暗い絵具を使わない工夫をしました。
光による変化を描く連作
ジヴェルニーの家の近くで、麦畑に積まれた「積みわら」に惹かれたモネは、同じ場所で異なった天気や時間に絵を制作。光や風の動きを写し取りました。モネが「連作」の手法を実現したのは「積みわら」が最初だとされています。
睡蓮の連作を生んだ庭と池
モネが後半生を過ごしたジヴェルニーでは、借りていた家と敷地を購入し、「花の庭」と「水の庭」を整備しました。「水の庭」では睡蓮を栽培し、池に日本風の太鼓橋も架けました。ここからは300点もの「睡蓮」が誕生します。眼を患いながらも最晩年まで描き続けたのでした。
風景として描かれた「睡蓮」。水面に集中して間近に捉えた「睡蓮」。そして大画面に描かれた「睡蓮」。時間と光との対話を続けた画家の集大成がこの庭にあったと言えるでしょう。
展覧会情報)
「モネ 連作の情景」
国内外40館以上のモネ作品を厳選。革新的表現「連作」を生み出した過程に迫る。
会期:2024年2月10日(土)~5月6日(月・休)
会場:大阪中之島美術館(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)5階展示室
開館時間:10:00~18:00(最終入場は17:30まで)
休館日:月曜日(2月12日、4月1日、15日、22日、29日、5月6日は開館)
チケット読者プレゼントのお知らせ
2組4名様に無料観覧券をプレゼント。
大阪中之島美術館で開催されている「モネ 連作の情景」(2024年2月10日~5月6日)の無料観覧券をプレゼントいたします。
応募締め切り:2月19日(月)11:59まで
●応募にはmi-mollet(ミモレ)の会員登録(無料)が必要です。
●プレゼントのご応募は、1回までとさせていただきます。
●当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
<書籍紹介>
『新装版 ぼくはクロード・モネ』
さく・林綾野 え・たんふるたん 2200円(税込み) 講談社・刊
86年にわたるモネの人生を見つめ、紐解く物語絵本。『モネ 庭とレシピ』『ゴッホ 旅とレシピ』など、画家の食や暮らしを紹介する本で話題の著者による大好評シリーズ。
構成/からだとこころ編集チーム
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