ナイフで刺された男性に応急処置をしていた人物によるX(旧ツイッター)の投稿が波紋を呼んでいます。日本社会の縮図のような出来事なのですが、一体何があったのでしょうか。

11月5日未明、新宿歌舞伎町でホストクラブに勤務する男性が、女性にカッターナイフで刺されるという事件が発生しました。ホストを刺した女性は警察官に現行犯逮捕されたそうですが、その場をたまたま通りかかった医学部出身の青年実業家が刺された男性を応急手当したそうです。

この人物は医学部卒業後、医師免許を取得したものの医師にはならず、マーケティングなどの分野で活躍しているネット実業家です。氏に対しては賞賛の声も寄せられたものの、医師としての研修を終えていないにもかかわらず応急手当をしたことについて批判の声が上がったそうです。


一連の批判に対して氏は「研修を終えていない身であることは自覚しているので出過ぎた真似をせず、明らかにまずい処理を周りの人が行ってしまうことを回避したり、救急隊の人が到着するまでのやっておくべきことを行い、救急隊に引き継ぐ措置のみをしていた」と説明。続けて「自分の医師としての未熟さは認めますが、人として間違ったことはしていないと思います」と結んでいます。

さらに2日後には、怒りの長文をXに投稿し、当時の驚くべき状況を報告しました。

氏が応急処置をしている間、周囲には30〜40人が集まっており、周囲の人たちに救急車を呼んで欲しい、AED(自動体外式除細動器)を探して欲しいとお願いしたそうですが、誰も救急車を呼ぼうとせず、ひたすら無言でスマホのカメラを刺された人に向けるばかりだったそうです。

写真:Shutterstock

氏はこうした状況に対して「文化的な恐怖を感じました」と述べ、さらには「民度の低さが一線を超えている」と断じています(あまりにも皆が動かないので、直接、指名してお願いしたそうですが、やはり動いてくれなかったそうです)。

 

上記はあくまでも本人の主張ですが、大勢の人が見ていた状況で、事実とは異なるという指摘が出ていない以上、氏の説明にウソはないと思われます。

人は突発的な事態に遭遇すると、直後はどうしてよいか分からないという事態になりがちです。しかし、少し時間が経過し、ケガ人を応急手当している人が「救急車を呼んで下さい」と叫んでいる状況になっても、皆が無言でスマホを向け続けているというのは、やはり異様な光景といわざるを得ません。

その後のネットにおける氏への誹謗中傷も象徴的です。

 
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