2001年12月1日、雅子さまが愛子さまをお産みになりました。大切に過ごしてこられた日々ののちに授かった宝物です。
ご称号は「敬宮」、お印は「ゴヨウツツジ」、別名「シロヤシロ」。那須高原に咲く真っ白なツツジ科の花で、「純白な花のような純真な心を持った子どもに育ってほしい」という皇太子浩宮さま(今の天皇陛下)と雅子さまの願いが込められているといいます。愛子さまがお小さかったころの、浩宮さまと雅子さまのご愛情をふりかえります。
「母親になって涙もろくなって」と微笑まれる雅子さま
愛子さまのご誕生のニュースが流れると、のべ12万人以上人がお祝いの記帳に訪れました。まさに日本国中に喜びをもたらしたのです。
翌春、皇太子浩宮さまと雅子さまは、愛子さまご誕生後初めての記者会見に臨まれました。
「無事に出産できましたときには、ほっといたしますと同時に、初めて私の胸元に連れてこられる生まれたての子どもの姿を見て、ほんとうに生まれてきてありがとうという気持ちでいっぱいになりました。……生まれたての子どもの生きる力というのを目の当たりにいたしまして、子どもっていうのは、変ないい方ですけれども、ほんとうに生きるために、そして、親に愛されるべくして生まれてくるんだということを強く感じました」
涙ぐみながらこう語る雅子さまのお背中に、浩宮さまがやさしく手をあてて励まされます。雅子さまは、「母親になって涙もろくなって」と微笑まれました。
まず親が愛情を込めて育ててあげることが大切
愛子さまは雅子さまのもとで慈しみ育てられました。2005年2月に45歳の誕生日を迎えられた浩宮さまは、記者会見で、3歳になられた愛子さまの教育方針についてこう語られました。
「愛子の名前のとおり、人を愛し、そして人からも愛される人間になってほしいと思います。それには、まず私たちが愛情を込めて育ててあげることが大切です」
と述べられて、最近非常に感銘を受けられたとして、次の詩を朗読されました。それは、アメリカの家庭教育学者ドロシー・ロー・ノルトの「子ども」という詩でした。
「子ども」
批判ばかりされた 子どもは
避難することを おぼえる
殴られて大きくなった 子どもは
力にたよることを おぼえる
笑いものにされた 子どもは
ものを言わずにいることを おぼえる
皮肉にさらされた 子どもは
鈍い良心の もちぬしとなる
しかし、激励をうけた 子どもは
自信を おぼえる
寛容にであった 子どもは
忍耐を おぼえる
賞賛をうけた 子どもは
評価することを おぼえる
フェアプレーを経験した 子どもは
公正を おぼえる
友情を知る 子どもは
親切を おぼえる
安心を経験した 子どもは
信頼を おぼえる
可愛がられ 抱きしめられた 子どもは
世界中の愛情を 感じとることを おぼえる
――『あなた自身の社会 スウェーデンの中学教科書』(新評論)より
美しく成長された愛子さまに明るい未来を感じる
愛子さまのご成長をあたたかく見守ってこられた天皇陛下と雅子さま。やがて月日が経ち、2021年12月、愛子さまは20歳になられました。成年にあたっての感想に、愛子さまはこのように述べられています。
「天皇皇后両陛下には、これまで愛情深く大切に育ててくださり、どのようなときも一番近くで支えてくださいました。……これからは成年皇族の一員として、一つ一つのお仕事に真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えています」
そして、今年(2023年)1月には、3年ぶりに行われた新年一般参賀にも初めて臨まれました。
その初々しいお姿に、多くの国民が明るい未来を感じたことでしょう。
~~~~~~~~~~
●参考文献/『美智子皇后と雅子妃 平民妃十年の苦闘』(渡辺みどり著、講談社)、宮内庁ホームページ
キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
構成・文/高木香織
編集/立原由華里
前回記事「【雅子さま秘話】お気に入りは『フランダースの犬』。海外暮らしの長かった雅子さまに日本の心を伝えた、お母さまの“読み語り”」>>
Comment