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40代の本格的な肌悩みにどう向き合っていくか。世の中には「効く」コスメが溢れているのに、正直言うと自分の肌質や肌悩みに合ったコスメがわからない、という人は多いのでは? 美容成分の名前は知っていてもその成分がどんな働きをして、肌にどう効くか……今回は話題の美容成分の選び方・使い方を教えてもらいました。コスメを買いかえる前に、最先端の美容成分について学びましょう。

 

化粧品成分ハンター
竹岡篤史さん

国立研究所にてペプチドを用いた経皮ワクチンの開発を経て、2002年から成分開発に従事。ヨーロッパを代表する美容・コスメイベント「In-cosmetics」にて2016年、イノベーションアワード金賞を世界で初めてアジアから受賞した「美容成分の仕掛け人」。その後も再生オイル、清酒由来の発酵ペプチドの研究にも携わり、化粧品を世に送り出している。最近では化粧品メーカーなどから講演のオファーが殺到。製薬企業とともに共同研究・開発を続けている。

 


ヒットコスメは、化粧品成分ハンターが
成分を発掘したものだった!

 

世の中には美容に携わる職業がたくさんありますが、「化粧品成分ハンター」という肩書きに興味津々。そこで化粧品成分のプロである竹岡篤史さんにお話を伺いました。

――「化粧品成分ハンター」って、いったいどういうお仕事をされているんですか。

「皆さんが日々使われている化粧品というのはその中身である美容成分が主体であり、それをどのように『効かせる』かがカギになります。『美白に効く』と言ってもその中に入っているどの成分がどのように肌に効くのかが大事。これが化粧品のスタート地点になるんです。化粧品の開発はモノありきでなく、成分の進化や発見ありき。その成分、裏に潜む最新技術を世界中から発掘しているんです。

しみやシワをなくしたい・たるみを改善したいというなら、それぞれに効く化粧品成分を選ぶのが近道。この技術は、毎年・毎シーズンものスゴいスピードで進化しているため、化粧品メーカーが気づかない成分や技術を提案し、実験と研究をお手伝いしています。

この地球上にはまだ名もない植物や生物がたくさんあるんです、誰も踏み入れたことのない場所でまだ成分として使えるかどうかわからないものを掘り当てる、まさにハンティング(笑)。本当に地味な作業です。効果実感のある成分を探し、これらの成分を実際に化粧品の原料になるまで『育てる』のが僕らの仕事です」(竹岡さん)

 

――化粧品バイヤーとは違うのですか?

「間違われることが多いのですが、バイヤーはあるものを買付けに行く。僕らは成分やその種となる技術を見つけ出し、化粧品になるまで育てています。そのためには肌の知識はもちろん、原料・化粧品・法律などオールラウンドで知識を持っていなければいけないんです。もちろん一人でやるには限界があるので、原料の開発やブランディング、化粧品の開発支援、肌の基礎や有効性の研究という異なる専門家チームを作りました。化粧品メーカーから『こういう商品を作りたい』と相談されたときは、素材から探索し、化粧品メーカーの社長御一行を、原料があるマダガスカルへお連れしたこともありました」(竹岡さん)


――世界中から成分を発掘しているとなると、海外事情も詳しそうですね。

「何においても規模の大きいグローバル展開を得意とするアメリカですが、実はアメリカ発の美容成分って意外と少ないんです。医薬品・健康食品で使われている成分なども、アメリカ国内でしか販売されていないものもあります。

一方、美容大国ヨーロッパは、競争が激しいから発信力がすごいですね。2000年初頭にサーチュイン遺伝子という寿命を延ばす遺伝子に着目した化粧品がありましたが、その開発と仕掛けは南仏のベンチャー企業が世界に向けて仕掛けていたんです。実はそのとき、私も一緒に、時間を甦らせる『若返りのカギ』と呼ばれる美容液やクリームを仕掛けていたんです」(竹岡さん)