他人事を他人事のまま眺め続けることから踏み出すことを習慣に
社会課題をテーマにしたイベントが、その課題を解決するためのメッセージを発信する場にならず、単に課題について「世間の人々がカジュアルに語りやすくするキャンペーン」になってしまうことがあります。「怒れる当事者とか、真面目な顔の難しい議論とか、そういうのだとみんな引いちゃうから、もっとハッピーでポジティブな感じで話題にしようよ!」という意図で話し合いがなされてしまうのです。
例えば「この映像作品は女性差別と人種差別が描かれていますが、日本の若い女性をエンパワーする元気の出る作品として紹介したいので、フェミニズムや人種差別の話は避けてください」とか。「人生100年時代の社会課題について話し合うのですが、高齢者の経済格差の話は暗い気持ちになるのでやめましょう」とか。「いろんな愛の形があってもいいよねという話だけど、法律上の課題は難しくて敬遠する人もいるから、触れないでおきましょう」とか。
これでは、課題を他人事として眺めている人たちが、当事者に寄り添っている気分だけ味わって終わってしまいかねません。社会課題を広く共有するためには、もちろん、親しみやすさや身近さを感じる工夫は不可欠です。そうしたキャンペーンに触れて「わあ、明るくてハッピーでいい感じ! 応援するよ!」という温かな気持ちが胸に湧いてきたら、ぜひその温もりが冷めないうちにスマホで支援団体やメディアの特集記事を検索して、課題の現状を学ぶことを習慣にしたいですね。そして、寄付をしたり、署名をしたり、記事を友達にシェアしたりと、自分にできることを見つけて実際に行動する。それが社会を変える、明るくてポジティブな態度じゃないかなと思います。
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