ポイント5 医療は健康や命に直結するものなので、家電製品と同じように取り扱わない


編集:たとえば、「線虫がん検査」に関しては、CMもホームページもすごくわかりやすく、「メリットしかないのでは?」と考えていた私には、医療と家電製品を同じように取り扱わない、という視点がとてもわかりやすかったので、行動指針になりました。

山田:そうですね。わかりやすく魅力をアピールされると興味を引かれてしまいますよね。

電化製品は、新しい方が機能も多いですし、有名なタレントさんが使っているから使ってみようかな、と考えてもあまり害はありません。ただ、医療に関しては同じように判断してしまうと、軽はずみな判断が健康を害することにつながってしまう可能性もありますので、注意していただければと思います。

 

編集:他にも、「医者のいらないラジオ」の連載を通して、本当に様々なことを教えていただきました。意外と知らない風邪の定義や正体、皆さんの関心がとても高かった「免疫力とは」など、身近なのにあまり良くわかっていないことについて、医療に関する正しい知識を学ぶことができました。

今回改めておさらいした5つのポイントを、医療情報を見聞きしたときに思い出したいと思います!

山田:ただ、難しいのは、情報を得る方法や習慣が、食習慣や食事の選択の仕方に似ている、ということです。

編集:どういうことでしょうか……?

山田:たとえば医師から、「健康のためにはこうした食事をしましょう」とアドバイスされても、結局は、ご家族や周囲の友人の影響を受けますよね。子どもであれば親が作ったものを食べますし、一緒に食事をする人の影響の方がよほど大きく、医師が外側から行うアドバイスの影響は小さくなります。

情報も似ていて、実際には私のような医師が外側からこの「医者のいらないラジオ」を通して発信するアドバイスも、友人や家族との会話で「こんな記事があって」という情報よりは、影響は大きくないと思うんですよね。

編集:たしかに、家族や友人の影響はすごく大きいです。

山田:ただ、繰り返しテーマや切り口を変え正しい情報に触れることで、正しい情報との付き合い方が定着する、ということは起こり得ますよね。
「いつも同じことばっかり言っている」と思われるかもしれないのですが、まさに、それが狙いです。「このケースもあのケースも、最終的に同じ結論になるんだ」というところが理解できたときに、「情報はこうやって得る」ということが腑に落ちることはある気がしています。

編集:なるほど! まさに私も、一度か二度聞いただけでは記憶に定着しなかったのですが、何度も繰り返し解説いただくうちに、だんだんと医療情報を読むときに気をつけなければならないことが腑に落ちてきた感覚があります。

山田:連載「医者のいらないラジオ」は今回が最終回ですが、今後はラジオでお話しした内容を「医者のいらないニュースレター」として、引き続き発信していく予定です。

無料でメールをお届けしますので、ご興味がある方は、ぜひご登録いただき、引き続き医師が発信する、健康や老化にまつわる情報、そして最新医療ニュースの解説にふれていただければ、と思います。

編集:さっそく登録しないとですね。「医者のいらないラジオ」75回にわたる連載で、自分自身の健康にまつわる大切なことを、たくさん学ぶことができました。本当にありがとうございました!

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『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』
著:米マウントサイナイ医科大学 米国老年医学専門医 山田悠史
定価:本体1800円(税別)
講談社

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高齢者の2割には病気がないことを知っていますか? 今から備えればまだ間に合うかもしれません。

一方、残りの8割は少なくとも1つ以上の慢性疾患を持ち、今後、高齢者の6人に1人は認知症になるとも言われています。
これらの現実をどうしたら変えられるか、最後の10年を人の助けを借りず健康に暮らすためにはどうしたらよいのか、その答えとなるのが「5つのM」。
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ニューヨーク在住の専門医が、この「5つのM」を、質の高い科学的エビデンスにのみ基づいて徹底解説。病気がなく歩ける「最高の老後」を送るために、若いうちからできることすべてを考えていきます。



構成/新里百合子

 


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