感謝の言葉の一方で「ワンオペ育児推進では?」の声も…
羽生:日経DUALのコンテンツには「パパ」も登場するのですが、編集部でも意識的に男性の編集部員を採用していました。コンテンツを作る上でユーモアはちゃんと入れようね、ということも意識していて。だから、そうした感想をいただけるのは嬉しいです。
日経DUALが創刊してから、共働きの世帯数のグラフが指数関数的に増加したこともあって、媒体でも「共働き」という言葉を全面に打ち出したんです。ファッショナブルなお母さんたちもたくさん登場しますし、今考えても、赤ちゃんを抱っこしながら名刺交換をする読者会はすごく斬新でしたね。
川良:「子連れの名刺交換会」ありましたね。いきなり商談が始まったり、「後ほどPDFを送ります」みたいな感じになったり。
羽生:読者だった方たちがこの10年間で着々とキャリアを積んで、今では部長や執行役員になっていたりするんです。そうした方たちに最近、「あの頃、日経DUALがあったから生きられました」と言われてありがたかったですね。ただその一方、先陣を切って共働きを薦めたことで「結果、ワンオペ育児を促進することになったんじゃないですか?」と言われたこともあって。
「手抜きレシピ」「時短レシピ」人気の裏にある“苦しさ”
羽生:日経DUALでは、共働きを応援するための「手抜きレシピ」や「時短レシピ」の記事が毎回人気だったのですが、裏を返せば「仕事とワンオペ育児」に苦しんでいた方がいっぱいいたのかもしれない、と今思ったりします。「共働き」がスタンダードになった今、これからの課題は「共育て」なのだと感じています。
川良:講談社でも、「男性が育休を取るのは普通のことだよね」という空気になってきたのはここ数年のことです。女性社員が妊娠すると、産休や育休について人事部から説明があるわけですが、今は男性社員にも説明をするようになりました。
羽生:ここまで来るのに、すごく年月がかかりましたよね。
川良:2007年に1人目を出産したときは、12月に出産して4月には仕事に復職していました。私も「早く仕事に戻らなきゃ」と思っていたし、育休中に「いつ戻ってくるの?」という連絡もきて。でも、2人目のときはしっかり1年休みました。今ではそれがすごく当たり前の空気になってきた。後輩のためにも、あんまり張り切って早く復帰しなくていいかなと思ったりして。
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