平穏な結婚生活を送っていた博己さん(仮名・45)。ところが1人息子の壮馬くんが6年生になり、離婚を考えるようになったというのです。

原因は、中学受験のために妻の由梨さん(仮名・43)が鬼気迫る様相を見せ始めたこと。都心に住んだため、周囲の影響をたっぷりと受けた由梨さんは、いつのまにか仕事も減らし、受験勉強の伴走にのめりこんでいきます。

「あなたのご飯を作るくらいなら、その分息子に伴走したい」という理由から、週末3泊は塾近隣のホテルに泊まって缶詰になると宣言し……?

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取材者プロフィール
博己さん(仮名):45歳、上場企業のサラリーマン。役職は課長。都内在住。
由梨さん(仮名):43歳、派遣社員。
壮馬くん(仮名):12歳、小学6年生。2024年2月都内私立中学を受験予定。

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【中学受験】「1年間、金曜から月曜は母子合宿するわ」夫の常識を超える妻の狂気。次第にズレていく夫婦の価値観>>

 


こじれる夫、加速する妻の狂気


妻の由梨さんは中学受験にのめりこんでいるものの、皮肉なことに息子さんの成績はじりじりと下がっていきます。一方で夫の博己さんは、中学のランクで人生は決まらないと考えているため、妻が追い詰められているのがわかっても心のどこかで批判的だったといいます。

「自分でも器の小さい男だとわかっているんですが……僕には発言権がなく、お金だけは飛ぶように出ていく。一方で彼女は、子どものためであればどこまでも貪欲に、ある意味で自己中心的になれる。それは母親の特性というよりは個人差かもしれないですね。だけど僕は、家族のトータルでの幸せのバランスというものがあると思っていて。

息子にとって、勉強すること自体はプラスだと思います。でも妻はどうでしょうか。仕事も減らしてしまい、四六時中偏差値表と模試の結果、学校見学のスケジュールを眺めていて、健全とは言えない状況です。おまけにいわゆる『中受沼』にどっぷりとハマってしまい、何かあるとすぐに課金。家庭の収支バランスも取れていません。僕はもちろん、週の半分を妻子と別居なんて全然幸せじゃない。トータルで見て、家族の幸せの総量が増えていないなら、中学受験なんてしなくていいと思います」

博己さんの言葉は一理あると感じます。いくら夫婦とはいえ、子どもの教育や受験にかける情熱の量は異なります。何を幸せに思うか、それぞれの人生の指標があぶりだされ、簡単には解決できない問題と言えるでしょう。

暗雲が立ち込める博己さんと由梨さんの夫婦関係。そこに追い打ちをかけるような出来事が起こります。