作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた山本理沙。その赤裸々な声は、まさに「現実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の家族の在り方を浮き彫りにします。
今回取材に応じてくれたのは、現在「事実離婚中」だという篤史さん(仮名・36歳)。すでに別居中で時期が来れば離婚に踏み切るとのことですが、その直接的原因は篤史さんの浮気。この連載では珍しい、浮気した夫側の心情と苦労を詳しく伺いました。
篤史さん(仮名)36歳
職業:飲食店オーナー
家族構成:別居中の妻、4歳の娘
夫の不倫が原因で「事実離婚」に
「今は奥さんとは『事実離婚中』、僕たちは子育てを一緒にするパートナーです。別居をしてこの関係に落ち着いてから、たぶん出産以来、今が一番うまくいってます」
「事実離婚」という聞き慣れない言葉を口にした篤史さん。現在、夫婦関係は事実上解消しているけれど、娘さんのお受験で不利にならないよう、実際に離婚をするのは数年後と合意しているそうです。
「お互いに夫婦としての要求も期待もないから、素直に助け合えるし感謝できるようになりました。
僕の担当は保育園の送迎、娘の夕飯やお風呂を済ませて、仕事から帰宅した妻にバトンタッチ。日曜祝日はワンオペで1日過ごします。お互いに自営業なので、平日月曜日は家族の日と決めて3人で出かけています」
爽やかにスラスラと語る様子から、この夫婦分担に至るまでに、きっと相当の話し合い・経験を積んできたのだと予想しました。
「夫婦が助け合って子育てをする」というのは理想的で、言ってしまえば当然のことですが、多くの夫婦にとって決して簡単ではないのは常識のようなもの。
実際、篤史さんも妻と現在の安定した関係になるまでは、度重なる衝突や修羅場があったそうです。「事実離婚」となった決定的な原因は、篤史さんの不倫でした。
「僕の言い分なんて、世間にとってはクズ男の言い訳だって叩かれたり炎上すると思いますが……」
諦めたように微笑む篤史さんですが、実は繊細な男性の心理は、とても興味深いものでした。
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