2位:『一流シェフのファミリーレストラン シーズン2』
原題は『THE BEAR』。現代シカゴを舞台に、地元のレストランを復活させようとするシェフの奮闘を描いたドラマです。主人公のカーミー(ジェレミー・アレン・ホワイト)はニューヨークで活躍するスター・シェフでしたが、自殺してしまった兄のレストランを立て直すために地元に帰ってきます。そこで、昔からレストランで働く幼馴染のリッチー(エボン・モス=バクラック)や副料理長として雇ったシドニー(アイオウ・エディバリ)らとともに新たにレストランを立ち上げることになります。
様々な役職の人間が集まって美味しい食事を出す店を作り上げていく王道のレストランものでありつつ、かなり具体的にその苦労が描かれるのが本作の見どころ。とくにシーズン1では、レストランの改革のために新システムを導入しようとするものの、スタッフに受け入れられず、さらには経営的な困難にも直面し、なかなかうまくいきません。
つまり、インディペンデントで組織を運営する大変さがひらすらリアルに映し出されるのです。さらに、そこには集まったメンバーの個人的なトラウマや悩みも関わってくることになるのです。これは苦しい。
だから99パーセントぐらいは大変なことばかりなのですが、それでも残りの1パーセントでかけがえのない喜びが生まれます。シーズン2ではレストランをオープンするためにメンバーそれぞれが修行して戻ってくる過程が語られますが、チームで何かを作り上げることの尊さがそこでは浮かび上がってくるのです。
とくに、古いタイプの中年男リッチーが再起をかけてイチからやり直そうとする姿は感涙ものです。ひとりひとりが不完全でも、ぶつかり合い協力し合うことで温かい共同体が生まれる……そんな、シンプルなことが信じ抜かれる作品なのです。
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