今年も気付けば残りわずか……。仕事もプライベートもバタバタと忙しい年末に、待っているのが家の大掃除です。「時間もなければ、体力も気力もない……」そんな方も多いのではないでしょうか。とはいえ、新年は綺麗に片付いたピカピカな家で迎えたいものです。

そこで忙しい現代人のため、家の2大水回り「キッチン」と「お風呂」の効率的なお掃除方法を家事掃除研究家の大関優子さんに教えてもらいました。ぜひ年末の大掃除に試してみてくださいね。 

大関優子さん家事掃除研究家
主婦業の経験を活かし、2007年より個人の自宅、オフィス、セカンドハウスのハウスキーパーとして、毎日、毎週、毎月、半年など時期を区切ったハウスキーピング術をフルオーダーで管理指導することを得意とし、著名人の指名が殺到する人気の掃除家。


【掃除前にすること】
・作業前、作業中と窓やベランダなど2ヵ所は開け、新鮮な空気の流れを作ってください。 
掃除をすると埃や汚れが空気に充満します。通気をよくし、空気を循環させることが大切です。
・マスクとゴム手袋をする
手を傷つけたり、また埃などを吸い込まないためにも、この2つを用意ください。

【使用する洗剤はこれだけ!】
・中性洗剤(食器洗いなどで使用しているもの)
・アルカリ性洗剤(強力泡タイプ)

大関さんが実際に使用しているキッチン洗剤。マジックリン ハンディスプレー


油汚れ、焦げつき、水アカの汚れが大集結!
 

 キッチン   


「まず掃除が必要な場所として優先順位が高いキッチン。油汚れ、焦げつき、水アカなど、放っておくと手がつけられなくなる汚れが大集結している場所でもあります。キッチンも含め、掃除の原則は「上から下へ」。埃は上から落ちてきますから、床を掃除した後に上の方を掃除すると、埃が舞い、また床を掃除するはめになってしまいます。キッチンで上にあるものと言えば「換気扇」。ですので、最初に換気扇に洗剤を浸透させ、その間にコンロの掃除に取り掛かり、最後にシンク。この流れで進めるのがおすすめです」(大関さん)

 


・換気扇
「まず換気扇の汚れ掃除は、レンジフードやファンなど、外せるものをすべて取り出します(天板、シロッコファン、止めているネジ、グリルフィルター、小物など)。油汚れは酸性の汚れなので、アルカリ性の洗剤で落とします。汚れの上にキッチンペーパーを置き、アルカリ性洗剤(強力泡タイプ)を含ませ、油に馴染ませます。この時、強力泡タイプの洗剤を使用するとまんべんなく湿らせることができますし、無駄な液垂れも防げます。キッチンペーパーがない場合は、サランラップでパックのように貼り付けてもOK。

シロッコファン、止めているネジ、その他小物などはビニール袋に入れて、アルカリ性洗剤をかけて放置します。
フィルターの後ろはキッチンペーパーにアルカリ性洗剤を浸します。
油汚れがアルカリ性洗剤と化学反応を起こすまで、じっくり待ちます。
キッチンペーパーに浸した上に、ラップをすると汚れが中和されて取れやすくなります。

換気扇を1年に1回しか掃除しない、という人は最低40分、半年に1回という人は20分程時間を置いてください。汚れを放置していた時間に比例して、汚れは取れにくくなるので、そういう意味でも掃除はこまめにするのが本当は一番の時短なんです。汚れは放置した時間に比例して頑固でやっかいなものとなります」(大関さん)

外せるものはすべて外すことが鉄則!

「放置が終わったら、使用したキッチンペーパー(サランラップの場合はいらない布など)で拭き取って、それでも残っている頑固な汚れをヘラでこそぎ落とします。私がずっと愛用しているのは、無印良品のシリコーンスクレーパーです。このスクレーパーは醤油の焦げ付いた汚れなどを取ることもできますし、油っこい料理を作ったフライパンなど、スポンジで洗う前に汚れを取るのにも使えます。シロッコファンの羽は間は汚れが取れにくいので、古い歯ブラシなどで古い油の汚れをかき出すようにこすってください。その後、ぬるま湯で流し、2度ほど水拭きをしたら完了。最後に除菌用のアルコールを浸した布で拭き上げ除菌してくださいね」(大関さん)


大関さんが実際に使用しているお掃除グッズ

大関さん愛用の無印のシリコーンスクレーバー
ピカピカになったシロッコファンは見ていても気持ちがいい!


・コンロ
「調理中の吹きこぼれや油はねなどは、中性洗剤ではなかなか落としにくいところ。食器用の中性洗剤で洗った後、五徳に付着した汚れなどは、ヘラでこそぎ落としてから、換気扇と同じように台所用洗剤でパックしてください。こそぎ落とす際はシリコン素材より硬い、ステンレスや金属タワシ、また三角定規などを使用します。特に三角定規は私の掃除の神アイテムでもあって、いつもエプロンに入れているグッズ。三角定規はプラスティックでできているので、金属に使っても傷がつきにくいんです。硬さ、形と、汚れを削ぐのにものすごく便利なので、是非試してみてください。洗剤パックの後は水拭き、布でアルコール消毒、です」(大関さん)

液垂れを防ぎ、しっかり浸透さえるためにもキッチンペーパーなどでパックは必至。
魚の油でベタベタだったグリルに漂白パックを。
15分置いた洗剤パックで油汚れを取り、ステンレスたわしで擦ったところ、ピカピカに。


・シンク
「食器洗いで使うシンクは、換気扇やコンロよりは、比較的頑固な汚れも少ない場所。シンクは食器洗いで使用している中性洗剤で洗えばいいのですが、問題は排水溝、そして排水管。排水溝と排水管に関しては、もっとも効果的なのが75度のお湯で洗うこと。通常のカビは50度以上になると死滅するのですが、黒カビになってしまっている場合は75度のお湯が必要となってきます。できれば毎日、50〜60度のお湯で排水溝を掃除するのが清潔に保つコツ。しかし忙しい人は1週間に1度でもいいので習慣にしてみてください。75度のお湯が出ない、という家は、できるだけ設定温度を高く。水切りカゴ、洗剤を入れるカゴや排水口などはキッチン用漂白剤をかけて。除菌、消臭も一緒にできるので一石三鳥です。
ちなみに食器もできるだけお湯で洗った方が汚れは取れやすく、衛生面でも安心です。食器洗い用のスポンジは、使用後に毎日ハイターを薄めた水に漬けることをおすすめします。一見分かりにくいですが、スポンジは菌の宝庫! 放っておくと毎日繁殖してしまうので、このひと手間をするだけでも、シンク周りのカビの生え方が変わってきますよ」(大関さん)


大関さんが実際に使用しているキッチン漂白剤

シンクは食器用中性洗剤ひとつでぴかぴか!使った後のスポンジは必ず除菌することを忘れずに。
カゴの細かい場所にも使い古しの歯ブラシが役立ちます。
水道の蛇腹とホースとヘッド部分も中性洗剤で洗ったのち、キッチンハイターを薄めてラップで放置します。
最後拭き上げれば完了

「大掃除は腰が重い」という人も、キッチンとお風呂だけでもピカピカにすれば、心スッキリ年末を迎えることができるはず。掃除は水だけでも綺麗になりますので、毎日習慣づけすることが大切です。是非、試してみてくださいね。

※キッチン、お風呂の素材により、適する洗剤は変わってくるので、洗剤の注意書きをよく確認ください。

 
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