50代になると、男女ともに更年期の症状が出てきたり、「なんとなく不調」が長引いたり。「病院に行くほどではないだろう」とそのまま放置する方も少なくないかもしれません。ですが、予防医学のエキスパートで内科医・産業医の森 勇磨さんは、50歳からの「食習慣」の見直しが、それらの症状を緩和したり、その後の健康的な生活に大きな影響を及ぼすと語ります。

 

今回はそんな森先生の著書『最新予防医学でここまでわかった 50歳からの病気にならない最強の食生活』から、50歳からの食べ過ぎを避け、摂り方を工夫したい食べ物5選について、特別にご紹介します!

 


予防医学的に「食べないほうがいいもの」5選


医学的に決着している「食べないほうがいいもの」は存在します。とくに50歳を過ぎると、今までは摂取していても健康に影響がなかったものでも、蓄積されてしまって悪影響を及ぼすものもあります。

50歳を過ぎたら、以下の食べ物を日常的に摂取している人は注意していくようにしましょう。
 

①トランス脂肪酸
——「パンにマーガリン」の人はチーズやジャムに変えてみる

 

マーガリンや市販のお菓子によく使われているショートニングには、「トランス脂肪酸」という油が使われています。トランス脂肪酸は植物油から作られるため、誕生した当時はバターより健康的と庶民に受け入れられていました。

しかし、トランス脂肪酸は、WHOが「2023年までに食品に含まれるトランス脂肪酸の一切の排除」を世界各国に呼びかけるほど、人体に悪い影響を与える成分です。さまざまな研究結果でも、トランス脂肪酸がもたらす害が証明されています。

たとえば、「悪玉コレステロールが増えて善玉コレステロールが減る(※1)」「1日に摂取するエネルギーのうち2%をトランス脂肪酸でとると、心筋梗塞や心臓病になるリスクが16%上昇(※2)」「糖尿病、認知症のリスクが上がる(※3、4)」など、まさに百害あって一利なしという状況です。

今ではアメリカやタイなどでトランス脂肪酸の使用が禁止されているほか、シンガポールや韓国では食品への含有量の表示が義務づけられています。

一方で、日本では相変わらずトランス脂肪酸は合法で、含有量の表示も義務づけられていません。日本では、マーガリンや、お菓子などに使われるショートニングの市場が大きく、禁止などの措置はなかなか難しいようです。ただし、トランス脂肪酸の含有量を減らしたマーガリンを販売するメーカーも出てくるなど、前向きな動きもあります。

マーガリンは「毎日パンに塗って食べる」など、習慣化されてしまっているところもよくない部分です。その場合は、代わりに野菜やチーズをのせて食べる、砂糖や甘味料の含有量の少ないフルーツジャムを塗って食べるなど、パンの食べ方を工夫してみるのもよいでしょう。