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「英語なんて、学校いらないだろ、いやでも身につくさ。ファストフードでバイトでもして、英語を使ってれば半年くらいでしゃべれるよ、誰だってさ」

私は少し驚いて、エリックの顔を見た。髪がブラウンで、どこかオリエンタルな雰囲気がある彼の横顔を、まじまじと。

音信不通のホストファザーに電話をかけたら「恐ろしい場所」から着信音が...!?脳裏に浮かぶ戦慄の光景_img0
 

――ファストフードでバイト、かあ。

世間的に見れば相当恵まれているはずの、名門校教師の息子の意見にしてはずいぶんと実践的だ。そういえば、しばらく話していてわかったけれど、エリックの英語は、なんというか結構フランクだった。

イギリス人の中でも、パブリックスクール出身だったり、オックスフォードやケンブリッジで学んだりした人は、超スノッブなオックスブリッジアクセントで話すという。ちょっと鼻にかかったような、特徴的な発音で、英語の教材で首相や王族が話すのを何度も聞いたことがある。

おそらくレイは、そこの教師であるから当然そういったアクセントを大切にしているはず。しかしエリックは、私の耳には一般的な、むしろ下町的な英語に聞こえた。

――そんなことってあるんだろうか?

イギリスは日本では考えられないほど階級社会で、アカデミックな世界に生きているひとはそれらしい特徴をはっきりと持っていると本で読んだ。そういうところに憧れて、留学先をイギリスにしたところもある。

――エリックは別居しているから、英語も変化したのかな?