非課税・長期で持って自分の好きなタイミングで売れる新NISA、使わない手はない

このところ、「新NISA」とか「オルカン」といった単語をよく耳にします。ここは世の中のブームに素直に乗るべきか、それとも静観するべきなのか判断がつかず、元外資系金融エリートの肉乃小路ニクヨさんにご助言いただこうと思います。

まずは新NISAは、始めた方がいいのでしょうか? と伺うと「やったほうがいいと思いますよ」とニクヨさんは明言。

 


前回記事
老後資金が心配で投資したら大損…辛酸なめ子、肉乃小路ニクヨさんに「投資の正解」を学ぶ>>

 

肉乃小路ニクヨ(にくのこうじ・にくよ)
経済愛好家、ニューレディー、コラムニスト。渋谷教育学園幕張高等学校を卒業し、慶應義塾大学総合政策学部へ進学。大学在学中より女装をスタート。大学卒業後は金融業界で10年以上勤務し、お金のプロとして様々な提案を行う。証券会社、銀行、保険会社などを渡り歩き、夜は新宿2丁目の夜の社交場で、人間観察力を磨いてきた。42歳で退職し、その後はフリーランスとして、自分らしく生き、人生をバラ色にするために必要なお金との付き合い方を、多くのメディアで熱く発信する。千葉県出身。


メリットは非課税なところと、前まであった期限が撤廃されたので、長期で持って自分の好きなタイミングで売れるところです。ますます使いやすくなったので、投資信託を買うなら積極的に新NISAの枠を使った方が良いですね」

新NISAは成長投資枠が年間240万円、つみたて投資枠が120万円あって、生涯の非課税保有限度枠は合計で1800万円。360万円を5年くらいで使い切る枠がありますが、途中の売買も可能で、売却したら投資枠が復活するのも魅力です。ニクヨさんによると、証券会社での口座開設はわりと手軽にできるそうです。

マイナンバーなどを登録するのですが、意外と手続きは簡単ですよ。スマホが使えるなら、ネットの証券会社で口座を開くのがおすすめです。ある程度年齢がいってる人は少しでも長期で大きい金額を運用した方が良いので、私だったら最短の5年で枠を使い切って運用します。iDeCo(個人型確定拠出年金)は手続きが煩雑ですが、それと比べても新NISAは使いやすいです。ただiDeCoは所得控除にもなるし、老後の年金資金として確保したいのならそちらも良いかもしれません
 

肉乃小路ニクヨさんの新NISAおすすめ商品は?


新NISAというと、多くの記事では「eMAXIS(イーマクシス)Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)がやたら推されています。ニクヨさんのおすすめの商品は何かあるか伺うと……

「私もeMAXISのオールカントリーと、日経平均と連動する他の商品を持っていますね。eMAXISは、全世界の株式が入っているのに手数料も高くない。手数料を抑えるためにかなり工夫をして運用をしているとBSテレ東のニュース番組でも取り扱っていました。個人で数百の株を分散して買ったらコストがかさんで大変です」

調べてみたら「オルカン」のコストは、買付手数料なしで管理費用(含む信託報酬)0.05775%。これはかなり安いです! 私が一般口座で買った投資信託の手数料は2%くらいだったことを思い出し、また気が遠くなりました

イラスト/辛酸なめ子


自分が住んでいる社会をより良くするためにも、日本の会社に投資したい


ニクヨさんはオルカン以外にもおすすめの投資信託があるそうです。

私は日本人としてはやはり日本の会社に投資するのが良いんじゃないかって。日本はオワコンみたいな意見もありますが、やっぱり住んでいる日本に投資して応援したい。私は日経平均と連動する商品も持っています。悲観的な見方もあるけれど、逆に企業はチャンスと捉えて、少ない人数で生産性を上げられたら良いのかもしれません。少子高齢化社会の解決法を見出せば、そのノウハウをこれから高齢化していく他の国々に輸出できる。自分が住んでいる社会をより良くするためにも、日本の会社に投資したいです。日経平均と連動する商品を買ったら、貢献してることになると思っています」

と、意外にも愛国心がみなぎるお言葉を伺い、胸が熱くなりました。おっしゃる通りで、利益にとらわれて米国株を中心とした海外の株ばかり買っていたら、住んでいる母国の経済がおろそかになってしまいます。

「S&P500に連動する投資信託とか、オルカンに人気が集まると、日本人の資産が外国に流出してしまいます。(ウォーレン・)バフェットさんも日本の株に興味を持っているそうだし、日本の株も好調なので投資しても良いと思います」

新NISAで投資を勧めて海外にお金を流して米国経済を活性化させる、という流れはもしかして日米の間で何か示し合わせているのかも? と思ってしまいます。私もオルカン一択という思いを改め、国内投資にも目を向けてみようと思います。「国内の経済が活発になれば、回り回って自分に返ってきて、生きやすい社会になります」と語るニクヨさんは、どこか崇高な使命感を漂わせていました。

 
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