作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた佐野倫子。その赤裸々な声は、まさに「事実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。

今回お話を伺うのは、45歳、地方都市在住、「おっとりした主婦」という印象の伽耶さん。事前に紹介者から聞いたとことによると、「既婚者なのにどこに行っても年下男性に冗談のようにモテる」方とのことで、少々構えながらも、お話を伺いました。

 
取材者プロフィール
妻/伽耶さん(仮名):45歳、地方都市在住。インテリアショップで仕入れを任され、働いている。息子は大学生で上京、夫と二人暮らし。
夫/浩司さん(仮名): 48歳、大手メーカーの研究職。
 
 


需要と供給の一致


「既婚者なんだけど、それがストッパーにならないくらい年下の男のひとが寄ってくる女の人がいる。それなのに夫婦関係は悪くなく、実態を取材してみては」というお話があり、難しいだろうと思いながらコンタクトをとると意外にもOKが出ました。

月に数度は仕事の関係で上京してくるという伽耶さんにお話を伺いました。

事前の情報からイメージしていた「魔性の女性」像とだいぶイメージが違う伽耶さん。小柄で、ふんわりした笑顔に、全体的に丸みを帯びたシルエット。肌がとても綺麗です。大変失礼な物言いですが、モデルのような美しさや極端な若作りはありません。

ふんわりニットを着ていて、にこにこしているうえにおっとりと話すので、とにかく柔らかそうなイメージがあります。しかし都会的な洗練やモテ、という単語は結びつきません。

「私は、モテてるわけじゃないんです。ある種のタイプの男の子の需要と、供給がマッチしているだけなんですよ。何かが人としてずれている、たがが外れていると怖くなったときもあります。でも、夫婦としてやっていくための私なりの決断もあって。説明が難しいんですが……」

そう言って腕を組み、思案する伽耶さん。その合間にも、優しい笑顔でこちらを気遣ってくれます。取材と言えども受身ではなく、なんとか言葉にして説明しようと試み、ときに場を読んで面白いことを言って笑わせてもくれもします。察するに、非常に頭の回転の速い方なのでしょう。

筆者は感心しながらも、「不思議な夫婦関係」について伺いました。