復職したら、平日にあちこちの小学校へ見学に行くようなことはできなくなりますから……。

当時、娘はまだ3歳でしたが、教室にじっとしているようなことが苦手。通うことができる学校はあるのかと、心配は膨らむばかりでした。

そんな中、教育委員会の職員の方に「お嬢さんに合っていそう」と紹介された私立の小学校を訪ねたんです。

【障がい児を育てながら働く⑧】「この小学校なら、娘も大丈夫」と確信。私立特別支援学校「愛育学園」との出会い_img0
よく遊びにいった大きな公園。噴水と、その近くにいる鴨を見るのが大好きでした。

—— それが、私立特別支援学校愛育学園だったのですね。

私立特別支援学校愛育学園は、東京都港区の愛育クリニック(旧愛育病院)と愛育幼稚園の間にあるある小さな学校(幼稚部・小学部のみ)です。

教頭先生がニコニコしながら、私の話を丁寧に聞き取ってくださり、校内を案内してくださいました。

教室はあるようでなく、廊下も校庭もすべてが教室。子どもたちは思い思いに、好きな場所で満たされた表情で、自らのやりたいことに向かって取り組んでいました。

ホールの中央には娘の大好きなトランポリンが置いてあります。慈愛に満ちたまなざしの、口髭をたくわえた初老の男性の先生が、肢体不自由の子を抱きかかえ「跳ぶのが好きなんだよね」と語りかけながら、ふわりふわりと跳んでいました。

それが校長先生でした。

—— 教室で椅子に座って授業を受ける、一般的な小学校とは、だいぶ様子が違うようですね。

娘のように「水」が好きな子が多いようで、広い浴室がありました。

「かつて、小学4年近くまで浴室にこもって水遊びをしながら過ごしていたお子さんもいました」と教頭先生が教えてくださいました。喘息もあったというそのお子さんは、湯気にあたっていると楽だったのでしょう。自分で「もう大丈夫」と思ったころあいに、自ら浴室から出てきて、外で遊ぶようになったそうです。