疲弊した「被害者」以外が行動することの重要性

悠馬の取り巻きである山内たける(井上想良)は、「悠馬のために」と、由希たちをSNSで誹謗中傷し、攻撃します。性暴力の加害者の周辺の男性って、「仲間だから」と加害者を擁護し、被害者を攻撃することが本当に多い。でも、本当に仲間を思うなら、諫めるべきなのです。悠馬は「悠馬のために」と由希たちを攻撃した山内たける(井上想良)を「信用できる」と言いました。でも、権力のある悠馬に恐れずに正面から向き合った伊月は、たけるよりよほど悠馬のことを思っていたでしょう。

「ついていった方が悪い」という自己責任論で片付けてはいけない。ドラマ『SHUT UP』が描いた性的同意、貧困・格差の問題_img0
©️「SHUT UP」製作委員会

由希たちは、たけるたちの攻撃によって、SNSで誹謗中傷を拡散され、炎上して話題になってしまいます。由希が他の学生からカメラを向けられたとき、由希の友達である宇野陽太(草川拓弥)が、その学生たちを制し、守ります。由希が「ありがとう、代わりに言ってくれて」と言うと、陽太は驚いた顔をして言います。

「なんで? 田島(由希)さんがやり返さなきゃいけないって、おかしいでしょ。傷つけられてる人が直接戦わなきゃいけないわけじゃないから」

こんなことを言ってくれる人がいたら、被害者はどれだけ救われるでしょう。陽太が言うように、傷ついて疲弊している被害者だけが矢面に立って戦わないといけないわけじゃない。むしろ、周囲が声を上げ、被害者を守るべきだと思います。陽太の言葉は当事者以外が行動することの重要さを教えてくれます。

 


最近でも、性暴力が話題になるたび、「ついていった方が悪い」「警察に行けばいい」といったセカンドレイプ発言で溢れます。まだまだ、被害者の置かれる状況や、性的同意について理解が追い付いていません。

そういった問題に、かなり踏み込んで描いた『SHUT UP』。放送は終わってしまいましたが、動画配信サービスLeminoで見ることができます。見逃した方はぜひ今からでもぜひ、見てみてください。

「ついていった方が悪い」という自己責任論で片付けてはいけない。ドラマ『SHUT UP』が描いた性的同意、貧困・格差の問題_img1
©️「SHUT UP」製作委員会
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「ついていった方が悪い」という自己責任論で片付けてはいけない。ドラマ『SHUT UP』が描いた性的同意、貧困・格差の問題_img2
©️「SHUT UP」製作委員会

文/ヒオカ
構成/金澤英恵
 

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