『家政婦のミタ』の脚本家が紡ぐ令和のラブストーリー
『アイのない恋人たち』
職業柄、編集さんと「今期のおすすめのドラマありますか?」とお話しすることが多いのですが、最近はいつも、『春になったら』の次に浮かぶのは『アイのない恋人たち』。SNSをチェックしていると、どうしても裏番組の『厨房のありす』に票が流れてしまっている気がしますが(こちらもすごくいい作品です! ありすが営むお店に行きたい)、ぜひ『アイのない恋人たち』も観ていただきたい!
本作は、「愛がない」「見る目(eye)がない」「自分(I)がない」と、それぞれ“アイ”が欠けている者たちによるラブストーリー。『家政婦のミタ』や『女王の教室』など数々のヒット作を世に送り出してきたベテラン脚本家・遊川和彦さんが紡いでいるだけあって、台詞も深いんです。
わたしは、第1話の「もしタイムマシンに乗って、好きな日に戻れるとしたら。今まで生きてきたなかの、どの1日を選ぶだろう」「もしタイムマシンに乗ったら、未来の物語はこんなふうに始まるのかもしれない。昔々、人類には恋愛というものがあったそうな……」という台詞で、グッと心が掴まれました。遊川さんは人間の本質をつく言葉を紡ぐのがうまい。
また、本作は男女7人による群像劇なのですが、それぞれが恋愛に対してまったく異なる価値観を持っているのがいいです。「分かる、分かる。そうだよね」と共感するだけでなく、「わたしは違うと思います」と意見交流をして、価値観を広げていく。たとえば、「恋愛は生産性がない。エゴイズムだ」という人がいたら、「でも、恋愛がないと退屈だと思います」と返す人がいる。
それぞれ、かなり個性的なキャラクターなので、例えば福士蒼汰さん・前田公輝さん・本郷奏多さんのなかだったら、誰を選ぶか? と自分に問いかけると、異性に求めているものが浮き彫りになりそうです。
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