2023年に一番リポストされた「こういうニュース」はバボちゃん

――あわうみさんが予想されていた以上に反響があった「こういうニュース」はありましたか。

あわうみさん：全然予想していなかったものだと、昨年行われた男子バレーボールのワールドカップのニュースです。マスコットキャラのバボちゃんがアメリカの選手に押しつぶされて変形したというものですね。

意外なことに、これが昨年一リポスト数が伸びたニュースだったんですよ。これが伸びるとは予想外で面白かったです。


これが昨年、リポスト数が一番伸びたニュースだったんですよ。これが一位だったのかというのはちょっと意外でしたね。リポスト数が伸びるニュースってあまり予想できないんですよ。

――そうですね、確かに予想つかなかったです（笑）。でもこのニュースってすごくXっぽいなと感じます。Xって、ユーモアというか面白いもの・笑える画像や話題がよくバズっている気がします。そういうのがユーザーの好みなんでしょうね。

あわうみさん：リポストが多いニュースってちょっとシュールなのが多い気がしますね。

 

――このアカウント運営をしてる中で大変だったことを教えてください。

あわうみさん：TwitterからXに変わったことで振り回されっぱなしです。まず、これまで無料で公開されていたAPI（外部のアプリがTwitter上の機能やデータを利用できるようにする仕組み）が有料化して、お金がかかるようになってしまいました。無料プランだと、ポストのみで検索ができないんです。こういうニュースだけ見ていたいbotは検索機能が必須なので、100ドルを支払いながら今後どう続けていくかを考えています。
あとは、有料化の影響でいろんなbotアカウントが軒並み消えてしまったのが残念です。

――いろんなbotアカウントが軒並み消えてしまったというのは⋯⋯

あわうみさん：「みんなの忘れたニュースBOT」というアカウントを実は目標にしていたんです。「世間が[⚪️⚪️]について話さなくなって⚪️⚪️日が経ちました。」とポストするbotで、一時期話題になったニュースをみんなが忘れた頃にポストするんです。フォロワー数が確か10万人近くいてすごいなと見ていたんですけれど、API有料化で更新が終わってしまいました。

――私も「みんなの忘れたニュースBOT」は見ていたのですが、あのアカウントはもう止まってしまっていたんですか。

あわうみさん：今はポストが止まっています。ほかにも雑学やセリフを定期的につぶやいていたbotはほぼいなくなってしまいました。


基本的にはXでこのアカウントを続けていきたい


――API有料化の影響がそんなところに。一般のユーザーの方は「なんかあのアカウント最近見なくなったな」と思っているんじゃないかなと思います。みんなが知らないうちに止まっている⋯⋯。
あと、TwitterからXへの変化を感じた部分はありますか。

あわうみさん：人のポスト内容を真似するスパムアカウントが出てきて困っています。一時、「こういうニュースだけ見ていたい」というテキストと悪質なサイトへのURLをポストしているスパムアカウントがたくさん現れた時期がありました。これによって集計したポストがおかしなものばかりになってしまったんです。
その時には、特定のURLやワードが含まれているものは除外して検索するという対応をしました。


――今、Xではリアルに存在するユーザーのアカウントのポストのテキストをそのままコピペしてポストしているスパムアカウントがたくさんいますよね。やり方が巧妙になっていて、わかりにくくなっています。
あと、最近、Twitterの創始者が新たに作ったSNS「Bluesky」が招待制をやめて誰でも登録できるようになりましたが、今後、このアカウントはどんなふうに発展させていきたいですか。BlueskyやThreadsなど他のSNSでも始める予定はありますか。

あわうみさん：基本的にはXでこのアカウントを続けていきたいという気持ちが強いです。API有料化という問題はありますが、今はpixivFANBOX（ファンがクリエイターを支援できるコミュニティ）で支援してもらいながらなんとかやりくりができているので、このまま続けていけたらと思っています。

他のSNSに移植できるかと考えると、当分は難しいと思っています。このアカウントはたくさんあるポストの中から「こういうニュースだけを見ていたい」と呟かれているニュースをピックアップするものなので、人が多いSNSでないと運営できないんですよ。その点で、現状はX以外のSNSで有力なところがないんです。
そもそも、プログラミングが大変なので気軽に移れないという事情もあったりもします。

これからも変わらないスタンスでXで続けていこうと思うので、引き続き温かい目で見守っていただければ嬉しいです。

＊　＊　＊　＊　＊

大きな天災や事件・事故などが起きるとテレビやネットニュースがそれ一色になってしまうのを、コロナ禍の時に特に感じた人も多いのではないでしょうか。確かにそれらのニュースを報じることは重要なのですが、日々痛ましくショッキングなニュースばかりではなく、ほっこりするようなニュースもあるよと教えてくれる「こういうニュースだけ見ていたいbot」。フォローしてみると心がゆるむ時間が今より増えるかもしれませんよ。

あわうみさんが管理する「こういうニュースだけ見ていたいbot」のSNSアカウントはこちら
X（旧Twitter）＞＞https://twitter.com/news_mitetai


次回の「SNSで見つけた『バズり人』さん」もお楽しみに！


構成・文／大槻由実子
編集／坂口彩
写真：shutterstock
 

 

前回記事「「介護する人にこそSNSがオススメ」お世話ではなく人間関係を作っている仕事と知ってほしい「はたつん介護士」さん」＞＞

　
  • 1
  • 2