こんにちは、エディターの昼田です。
今週あったJ-WAVEの取材。
東京に戻ってきてもうすぐ1年です。ふと我が家を見たとき、去年一年でいろんなものを手放していたことに気がつきました。今日はその話。
【手放したもの①】
フッ素加工のフライパン
山形に住んでいた頃、鉄瓶を買おうと山形鋳物の工房を訪れたことがありました。試しにもう何年も愛用しているという鉄瓶で入れた白湯をいただいたところ、あまりのおいしさに感動! ふと店主が
「鉄瓶もだけど、鉄のフライパンで作る料理は絶品よ〜」
確かにそうだった! 新婚時代に鉄のフライパンで料理をしていたことを思い出したんです。目玉焼きの外側がカリッカリで最高だったなぁ。子供が生まれてから家事に時間はかけられないと一度は離れてしまったけれど、少し手が離れた今ならいけるかもしれない。結果、我が家はフッ素加工のフライパンから鉄のフライパンにチェンジしました。
台所で眠っていた「釜浅商店の鉄打ち出しフライパン」は、結婚祝いにいただいたもの。業務用としても使えるほどなので頑丈。女性には少し重たいかもしれませんが、本格派にはぴったり。うちでは主に夫が愛用しています。
軽くてハンドルが持ちやすい「元気じゃない日の、フライパン」と「マグマプレート」の鉄の炒め鍋も愛用しています。
もちろん、鉄のフライパン&鍋にはデメリットもあります。
・油ならしが必要
・使いはじめは焦げ付きやすい
・重たい
その代わり熱伝導率がいいので短時間で調理ができ、洗剤を使わなくていいから手が荒れることもありません。そしてなによりハンバーグに餃子、私の唯一作れる得意料理を美味しく仕上げてくれるじゃないですか。
服もモノも完璧なアイテムはないと思うんですね。フッ素加工であれ鉄であれ、どちらにもデメリットはあります。何を大事にして、そのかわりに何を手放せるのか。メリットとデメリットを考えてよくわからなくなった時は、私はいつもこの質問を自分にします。
「私が絶対譲れないものを一つに絞るなら何?」
軽さ? 毎回の手入れのしやすさ? 値段? 耐久性?
私の場合は、「おいしさ」でした。そして、それ以外のものは手放してもいいと一旦覚悟を決めるわけです。
たかがフライパンの話なんですよ。だけど服もモノも人生も、常につきまとうのは「選択」です。私は何を大事にして、何を捨てるのか。何もかもを両立させることはできないから、自分が一番手にしたいものを真剣に考えなきゃいけない。
そんなとき思い浮かぶのはイチロー選手のこと。彼がバッターボックスに立つ意識は、日本でプレーしていたときも大リーグにいたときも変わらないんじゃないかと思います。この打席はテキトーにやって、大リーグだから真剣にやろうとか、そんなことはないはず。いつだって目の前のボールを丁寧に選択し続けてきた。
「選択」に大きいも、小さいもないのだと思っています。
私にとっては服も、フライパンも同じ。移住をするかどうかも、今日ショーケースからどのケーキを選ぶかも、まったく同じ意識、同じ真剣さ、なのです。
1000枚を手放した今も、迷うことはたくさんあります。だから、いつも自分に問いかけ、自分が欲しいものを明確にしていくことが大事なのだと思っています。
【手放したもの②】
炊飯器
炊飯器を買い替えようと家電量販店に行って見たものの、選択肢がありすぎて、何がいいのかよく分からなくなりました。炊飯器の値段とおいしさは比例するのだろうか? 食べてもないのにその味は私好みなんだろうか? となると予算で絞り込めばいいのか?
本当に答えが見えなくなりました。そんなときこそ自分に質問します。
「私が絶対譲れないものを一つに絞るなら何?」
私の場合は、おいしさ!
振り返って一番美味しいと思ったのはなんだっけ? そうだ、鍋で炊いたご飯とつや姫とおひつの3点セットだ。ということは炊飯器がなくてもいいじゃないか。
今、我が家はストウブで山形県産のつや姫を炊き、大館工芸社のおひつに入れるのが定番になりました。
私が欲しかったのは炊飯器ではなく、これでよかったのだ。
そのほかにも、「トイレブラシ」は、使い捨ての歯ブラシに変更。過去にトイレを詰まらせてから7年間一度も出番がこなかった「トイレのすっぽん」(笑)も。「いつか使うかも」の「いつか」はこないんですよね。服と一緒ですね。それから「電子レンジ」は壊れたタイミングで手放してみたら、意外となくてもいけました。
そう、手放すって自分を知るチャンスだから、丁寧に、真剣に。
<新刊紹介>
『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』
著・昼田祥子
¥1540(税込)
講談社
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クローゼットに収納術はいりません。
「クローゼット=本当の自分」にできれば、勝手に整うものだから。
ただ、自分の心地よさに従うこと。
本来の自分を生きるという覚悟を決めること。
捨てられずに人生を詰まらせているものに向き合い、手放していけたとき、人生はすごい速さで自分でも思いがけない方向に進んでいきます。
1000枚の服を溜め込んだファッション雑誌編集者の人生を変えた「服捨て」体験と、誰でもできるその方法を伝えます。
着用・文/昼田祥子
構成/出原杏子
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