今はネットや本、VRなんかでも「行った気になれる」「やった気になれる」擬似体験がいくらでもできてしまう情報の時代ですが、一方で「生身で体験すること」の価値が上がっている気がします。スピリチュアルな世界では人間はそもそも「生身での体験」をしに、この世に降りてきているのだと言います。それは、あの世=天からするととてもうらやましいことなのだそうですよ。『死ぬまでにやりたい!10のコト』は、「死ぬまでにやってみたいこと」をとにかくやってみた作者・なとみ みわさんの体験レポ集です。

作者のみわさんは50代。冒頭で「そろそろ自分に目を向けて、やりたかったコト思いっきりやって自分を満足させてあげたい! って思う」ことを「自分推し活」だと語っています。そんなみわさんの最初の「自分推し活」は、なんと遺影を撮影すること。

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「奇跡の一枚」とはどんな写真なのか、というのは本編でぜひとも確かめていただきたいのですが、なんでこうなった!? と予想を超えてくるもの。でも、その理由を知ると、みわさんの周りの人を明るくさせたいというお人柄が表れているようで、まさに「らしい」! さくっと「最高の遺影」を撮ってみたみわさんは、他にも「死ぬまでにやってみたいこと」はあるんじゃないか? と思うのでした。

 


ネガティブな感情の根っこにやりたいことが隠れている


本作には10個の「死ぬまでにやってみたいこと」が登場し、どれもこれも楽しそうだな〜と思うのですが、自分にはこんなに見つけられないよ、という方もいるかもしれません。

そういう方におすすめなのは、自分の中のネガティブな感情に注目してみること。

みわさんは、薄毛なことを気にしていたり、忙しくて疲れ果ててたりしている時に心には「やってみたいこと」が浮かんでくるのです。「こんな自分嫌だなあ」とか「疲れちゃったな」と感じる時こそ、そのネガティブな感情を解消してくれるのは、これまでの人生でまだやったことがない体験かも。

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あと、「心残り」という感情もありますね。昔一度だけやってみたけれど、全然楽しいと思えなかった茶道を40年ぶりにやって「記憶のアップデート」をしようと試みたり、「免許取っておけば良かった」という思いから運転免許取得にチャレンジしてみるみわさん。過去に一度やってみたり、検討したけれど、やめてしまった。でも、心のどこかにずっと残っていることを思い出してみるのも良さそうだな、と思います。

 


「天から目線」で考えると無難にならない


そして、滝行、女優体験、⋯⋯みわさんが「死ぬまでにやってみた」ことは、「無難」から外れたものも結構あることに気づきます。

最初に、撮影したいと思った遺影も「普通にキレイ」な無難なものではありませんでした。きっと死を意識してやりたいことを考えると、あの世からの「天から目線」になるんだと思うのです。とはいえ、まだもうちょっと人生の時間が残っている身なので、法的にまずいことや誰かを悲しませるようなことはしようとは思わない。ミドル世代ならまだまだ動ける体なので、遠出をしたり体力を使うことだってできちゃう。

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「天から目線」と、生身の人間の思考のマリアージュで絶妙にちょうどいい、この世で「やってみたいこと」が出てくるんじゃないでしょうか。そして、最後の10章を読んで思うのは、私たちって「人」との体験が一番やりたいことなのかもね、ということでした⋯⋯。

読んでいるだけでわくわく元気になってきて、自分も何かやってみようかな〜と思わせてくれる一冊。みわさんが体験したスポットの詳細情報もあるので、とっても参考になります。
この人生は一度きり。あなたも「自分推し活」を今こそやってみて!

 


『死ぬまでにやりたい!10のコト』第1〜3話を試し読み!
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<作品紹介>
『死ぬまでにやりたい!10のコト』
なとみ みわ (著)

もう“いい大人”だけれど、人生でやり残していたこと、ありませんか? そういえば子どもの頃に夢見ていたことも、週末にちょっとがんばったらできそうなことも。まだまだ「やりたかったこと」やれてなかったな⋯⋯。あなたも自分の夢を棚上げにして、とりあえず毎日を進めていませんか? 本書では、50代にしておひとり様となった著者が、自分の「やりたかったこと」を振り返りながら、体当たりしていきます。読めばあなたも今すぐ何か始めてみたくなる!

 

作者プロフィール 
なとみ みわ:

イラストレーター。雑誌・広告・webでマンガやイラストを幅広く制作。義母と家族、離れて暮らす実母とのエピソードをブログ「あっけらかん」にて連載。ジャックラッセルテリアの犬と息子と暮らす。著書には『まいにちが、あっけらかん。』(つちや書店)、ブログが書籍化された『ばあさんとの愛しき日々』(イーストプレス)、『コミックエッセイ1ヵ月でいらないモノ8割捨てられた!私の断捨離』(講談社)など。


構成/大槻由実子
編集/坂口彩
 

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