デジタルネイティブのZ世代を見ていると、ネットを上手に使っているな〜と感じることが多いですが、もしかするとミドル世代より「察する力」もうまく使いこなせているのかもしれませんよ。1月23日に1巻が発売された『慎みなさい篠宮くん! 〜お義父さんとは呼ばせない〜』を読んでいると、ミドル世代とZ世代のギャップをまざまざと感じるのです。

いつも人手不足で忙しいチェーン居酒屋の店長は、ある一人のアルバイト・篠宮くんに心を掻き乱されていました。大学生の彼はとにかくチャラくて、店長相手でも常にタメ口で距離感が近く、店長の娘のLINE IDを執拗に聞いてくるのでした。真面目な店長はタジタジ。

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こんな男に大事な娘を近づけるわけにはいかない、と強く誓う店長ですが、篠宮くんは実は超有能なアルバイトなのでした。老若男女問わず好かれる「人たらし」スキルはあるし、喋りながらもしっかりバイトのルーティンワークは済ませているし、店が混雑してきても落ち着いて対応している彼。そして女好きながらも、一線は超えない誠実さもあるようです。

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篠宮くんの方が上手。「若者あるある」なんて通用しません


物腰やわらかな雰囲気で、真面目な店長は「今時の若者はよくわからん」と思いつつ、自分がバイトからナメられているのを感じています。

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でも、篠宮くんはそんな店長もフォローしてくれるんです。馴れ馴れしく勝手に「お義父さん」と呼んでくるけれど、人手不足の時には必ず喜んで手伝ってくれるし、店長が疲れている時には甘いものを渡したり、発注ミスで余った材料を使うメニューをさりげなくお客さんにすすめたりと、察する力と要領の良さに抜かりなし。最初は警戒していた店長もちょっと心を動かされてしまっています。もしかして店長よりも店長に向いているんじゃ⋯⋯?

 

店長と篠宮くんの「察する能力」の違いに、ミドル世代とZ世代の差を見る


店長は生真面目で努力を積み重ねてようやく今のポジションを得たんじゃないかなと思わせるキャラ。バイトの子たちの反応も繊細に察し、優しく思いやりがあるのはわかるのですが、店は慢性的な人手不足でなんだかいつも不遇な感じ。
彼は「自分はナメられているのでは?」「こんなこと言ったらパワハラ?」と脳内で自問自答を繰り広げて悩んでいます。

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一方、篠宮くんは何でもストレートに表現してきて、脳内でひとり言なんて言っていなさそう。「自分の言いたいことだけ言って去っていく」と店長は彼を評していますが、別に自己中なわけではなく、ちゃんと彼も相手や状況を察しているんですよね。

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二人とも「察すること」をしているはずなのに、店長はなんか不器用で生きにくそう、篠宮くんはいきいきしている。この違いって何なの? と考えたら、店長が「彼はこう思っているのかな」と自分の脳内で推測しているのに対し、篠宮くんは自分が察したことを相手に確認したり、行動で表現しているんですよね。

「察する力」を軽やかに使いこなす篠宮くんは「若いしチャラいから、仕事ができないだろう」という店長の思い込みを打ち砕いていきます。

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ここまで「良い子」だと、真の目的が気になる⋯⋯裏があるんじゃないの? と店長同様に、彼のことを疑ってしまいます。が、それもまた思い込みなのかも。
場の空気を察してさりげなく和やかにしてくれている篠宮くんは、きっと裏のないただの有能なバイトなのです。察しすぎて疲れちゃう人は、彼の「慎まなさ」を学んでみては?

 

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<作品紹介>
『慎みなさい篠宮くん! 〜お義父さんとは呼ばせない〜』
桃聖 純矢 (著)

人手不足の居酒屋の店長は、埋まらないシフト表でもバックレる若者でもなく、 有能アルバイター・篠宮くんのせいで悩んでいた。 なぜなら彼が、店長の愛する娘・沙織の連絡先を執拗に聞いてくるから! だけど篠宮くんからの猛烈・ラブアピールは次第に店長にまで及び⋯⋯!? 絶対に落としたい男と、絶対に「お義父さん」と呼ばれたくない男の攻防戦が、始まる⋯⋯!


作者プロフィール 

桃聖純矢
2018年『ハニーサックル』 で第8回THE GATE奨励賞を受賞。2019年『スカルラット』 で第75回ちばてつや賞一般部門奨励賞を、『花に憧れた』 で第9回THE GATE古屋兎丸賞をそれぞれ受賞。2020年『恋は妄毒』(全4巻)で商業誌デビュー。現在、『慎みなさい篠宮くん! 〜お義父さんとは呼ばせない〜』をコミックDAYSで連載中。
X(旧Twitter)アカウント:@momose_junya


構成/大槻由実子
編集/坂口彩
 

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