女性を守るってなに?


主人公の向井くんは、元カノが自分を振った理由を「守ってあげたい」と伝えたときに「守るって何?」と聞き返され、それに対して上手く答えられなかったからだと思っています。それを聞いた飲み友達の女性が「守りたいなんて言われたら、見下されてるなーって思っちゃいます」と言うのです。

そんな風に、笑ってしまう展開のなかで、時折ハッとさせられるセリフが巧みに折り込まれているのがこのドラマのすごいところ。フェミニズムに関心がない人や、社会問題と聞くとなんだかお堅いイメージでハードルが高いという人も、普通のコメディか恋愛ドラマだと思って見始めたら、気が付いたら色々考えさせられちゃう、みたいな仕組みというのが、エンタメだからできることの醍醐味だなと感じます。

 


同性カップルが置かれる現状を踏み込んで描く


『きのう何食べた?』(テレビ東京系、よしながふみによる同名漫画が原作)は言わずと知れた大人気作品。2023年に放送されたseason2では、シロさんとケンジがふたりの将来を考える上で、どちらかの養子になるという選択肢について考えます。しかし、将来同性婚が合法化された場合、一度養子縁組したもの同士は婚姻関係を結べないという現実に突き当たります。同性カップルが置かれる現状について考えさせられるシーンでした。

 

自然にマイノリティにスポットを当てる、の妙


そして、次に②マイノリティに光を当てる、ごく自然に描かれるドラマを紹介していきます。

コンプラ・多様性に配慮するとテレビはつまらなくなる?抜群に面白い社会派、“行き届いた”エンタメ作品をプレイバック_img0
 

『作りたい女と食べたい女』(NHK、ゆざきさかおみの同名漫画が原作)は、女性カップルが主人公の物語ですが、現在放送中のシーズン2では、主人公たちと同じマンションに住む南雲世奈(藤吉夏鈴/櫻坂46)が、人前で食事をすることができない「会食恐怖症」であることが明かされます。さらに、アセクシャルのレズビアンである矢子可菜芽(ともさかりえ)が登場。多様なセクシャリティの人にスポットが当たります。

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印象的だったのが、南雲が主人公や矢子たちが行うホームパーティーに招かれた回。南雲は人前でご飯が食べられないのに参加していいのかとためらうのですが、ぜひ参加してほしいと誘われ参加。飲み物は飲めるので、皆で作ったラッシーを飲むのですが、会食恐怖症である彼女が自然に溶け込んでいて、その空気感が素敵だなあと思いました。南雲はそのことを「私が食べないのになんでとか聞かないでくれたから、居心地よかった」と振り返るのでした。