制作期間は3年以上。この本を書くことで半生の整理ができた

今回出版する本は、実はもっと早くに世に出そうと考えていたといいます。それが、予想外にこのタイミングにずれ込んでしまったのは、子どもとの関係性をなによりも優先し、本には嘘偽りなくすべてを書こうと思っていたからこそ。

「もともとは『Domani.』で連載していたものをまとめる予定で3年前に走り出したんです。でも、その頃は、ちょうど長女の思春期真っ最中。毎日、親子で激しいバトルを繰り広げながら、これを乗り越えないと書けない話があるな、と感じて。そうこうしている間に、長女の子育てが少し落ち着き、さらに長男のお嫁ちゃんが妊娠。彼女への初めてのギフトとして、この本を渡したいと思ったんです」

出産予定日は、昨年の12月16日。奇しくもこの日はMALIA.さんの会社の設立日と重なり、「絶対にこの記念日に産みたい!」というお嫁さんを手助けすべく、なんと分娩室で出産の立会いまでしたそう。

「予定日の少し前に帰国し、次の日にお産間近のお嫁ちゃんに会いに行きました。そのときに、『ママさえよければ、ぜひ立ち会い出産をしてもらいたいです。ママがいてくれたら安心感抜群だから』と、思ってもみなかったうれしい言葉をもらって。当日は、隣でほめて、励まして、支えて……彼女は、長男の手と私の手を握りながら出産。少しでもふたりの初めてのお産の力になれたかな? 私にとっても、とてもうれしい瞬間でした』

MALIA.さんが初めての子育てをスタートするお嫁ちゃんに伝えたかったのは、「私たちと家族になってくれたことへの感謝と、すぐ近くにいることはできなくても一番の味方だよ!」という想い。本の中には、21年という長い時間をかけたからこそ気付けた、子育てのヒントや、子どもたちから得たこと、教えられたことがたくさん。ちょっとクスッと笑ってしまうようなエピソードの数々が、MALIA.さんのユニークな言い回しのまま収められています。

「タイトルは、連載と同じ『育児育自論』としました。41年生きてきたうちの21年間を母として過ごしてやっとわかったのが、実は子育てしている間に、自分の方が育ててもらったんだということ。19歳から子どもを抱え、決して平坦ではない道を歩いてきたけれど、彼らがいたからこそ色んなことが乗り越えられたし、その度に成長させてもらって、何とかここまで来られたなと、改めて感じます」

本の中では、現在進行形で子育て中のお父さん、お母さんに役立つアドバイスもたくさん盛り込まれています。例えば、日本ではタブーとされることもある「性教育」について。MALIA.さんは子どもの頃から人一番好奇心が強いタイプで、「何でも知りたい星人」だったそう。けれど、MALIA.さんの母は、様々な疑問に正面切って答えてくれるタイプではなく、それがいい反面教師となったのだとか。

「生まれたときから他の子と肌の色が違ったし、パキスタン人の父は家にいないし……『どうして私はこうなの? パパはどこにいるの?』と。母はそういう問いにきちんと答えてくれず、はぐらかしてばかりだったので、私はいつもむずむずしていたんです。だから、同じような思いはさせないよう、自分の子どもから何かを聞かれたら、何でも逃げずに答えるようにしてきました。性教育もそう。自分がカナダに留学経験があったので、海外ではそれを正しく教えることが普通だとわかっていましたし。いつか絶対に直面しなければならない問題は、親の言葉を素直に聞いてくれる小さいうちから話しておくのがベスト。そうやって『なぜ? 何?』という“想い”を共有することで、私も子どもと一緒に成長できると思うんです」

そう語るMALIA.さんは、まるで悟りを開いたかのようにすっきりとした表情。実はここに至るまで、出会いと別れで相応の傷を負った分、自分の人生を振り返ったり、それについて話すことが負担になることも多かったそう。どうしても“その話題”は避けては通れない、けれどあまり話したくはない…そんな葛藤をいつも抱えていたといいます。ところが、この本を作るという過程を通して、そんな胸のザワザワが嘘のように消えていったというから不思議です。

「本を作るために、自分の人生と真正面から向き合ったからかなと。これまで、離婚の原因は、全部相手にあると思ってきたところがあったけれど、4周回って『すべて私が悪かった!』と思えるようになりましたし(笑)。いいことも悪いこともあったけれど、4人の子どもたちと出会わせてもらえたし、3人目の夫には仕事で忙しかった毎日を支えてもらったという事実は確かにあるから。起きたことすべてに後悔はなく、すべてをひっくるめて、『これが私』と言えるようになったのは大進歩。40歳という節目の年に、スコーンと気持ちよく振り切れた気がします」

 


後編では、MALIA.さんの「逃げない生き方」について、さらに深掘りをして行きます。


問い合わせ先/
アネラ インク info@anela.online
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「3人の子を連れて離婚。あの頃は金銭的にめちゃくちゃ追い詰められていた」モデルMALIA.が語る、大ヒットコスメ&ブラジリアンワックス事業と子育て_img0
 

『こどもも自分も一緒に幸せになる 育児育自論』
¥1760(A-Works)

モデル、経営者として走り続けるMALIA.さんが、4度の結婚・離婚と、4人のこどもを育てる中で気付いた、“人生で大切にしなければならない16”のことを一冊に。21年の育児の記録の中に、「親もこどもも幸せになる」ヒントが散りばめられています。3月15日には六本木・蔦屋書店にてトーク&サイン会を開催予定。(現地参加券は完売、オンラインチケット発売中)


取材・文/栗田瑞穂
 

「3人の子を連れて離婚。あの頃は金銭的にめちゃくちゃ追い詰められていた」モデルMALIA.が語る、大ヒットコスメ&ブラジリアンワックス事業と子育て_img1
 
 
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