『恋の始まりは出馬から』


曲がったことが見過ごせないがゆえに失職したセラ(ナナ『マスクガール』)は、ようやく手にした区役所のアルバイトで区議会の機能停止ぶりを目の当たりに。折しも始まった補欠選挙に立候補しようと決意した彼女は、紆余曲折の末にどうにか区議会議員になるも、「ポッと出の新人女性議員」を受け入れる議員は誰一人おらず……。

 


日本でも最も女性進出が遅れている政治の場においては、日々こんな事が起こっているんじゃないかと思わせる作品。セラは政治家としては素人なのですが、自分が住む地域で起きていることーー例えばどんな場所で交通事故が多発しているか、どんな場所に電灯が必要か、どんな場所でどんなトラブルが起きているかなどをメモした「請願手帳」を持ち歩き、区役所の窓口に「火食い虫」というハンドルネームで逐一請願してきた人物。

ドラマの中には「地方自治は、政党の理念より住民の利益」という言葉が登場するのですが、彼女のような生活者の視点こそが地方自治には必要であると実感させられると同時に、なぜそうした場から女性が排除されがちなのか? 女性こそが必要なのでは? と気付かされます。猪突猛進な正義感で痛い目を見ながらも政治家として成長し、あることを成し遂げるラストには、あらゆる女性が「こういう人にこそ政治家になって欲しい」と思えるに違いありません。

『グローリー 輝ける復讐』の悪役イケメン、パク・ソンフンが、そんな彼女を支える区役所職員ゴンミョン役をめちゃめちゃ可愛く演じているのも必見です。昨年大ヒットした『クイーンメーカー』にハマった人にも、ぜひ見てもらいたい作品です。
 

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