野田洋次郎が紡ぐ壮大な愛の言葉たち
個人的な話になってしまいますが、わたしは野田洋次郎さんが紡ぐ言葉の大ファンで……。とくに、ラブソングが好き。こういう表現は合っているかわかりませんが、野田さんのラブソングって“ほかの人がどうなってもいいから、君だけは”みたいな気持ちが伝わってくるんですよね。美しいだけじゃないというか。だから、より切実にわたしたちの心を突き刺すんだと思います。
『余命10年』の「うるうびと」や、『すずめの戸締まり』(2022年)の「カタナハルカ」などなど、野田さんが紡ぐ映画の主題歌は、聴くと、より作品への理解が深まるものばかり。『パレード』の主題歌「なみしぐさ」も、これまた最高でした。この曲がエンドロールに流れることで、作品が完成するような。今でも、聴くと心の奥がじんわりします。
ちなみに、野田さんは本作の劇伴も担当しているので、ぜひ音楽の視点からも作品を楽しんでみてください。
『パレード』を観ていると、大切な人を亡くした喪失感が癒やされていきます。苦しんでいないかな。ひとりで寂しくないかな……なんて思ったこともあるけれど、美奈子たちが集っていたような“特別な場所”が本当にあったらいいな。きっとあるんじゃないかな、と思うことができました。
きっと、もう逢えなくなってしまった“あの人”も、「なみしぐさ」の歌詞のように、わたしたちが笑顔でいることを望んでくれているはず。だからこそ、現世に生きている者として、しっかり前を向いて生きていかなければいけない。生きていこう!
『パレード』は、温かくじんわりと心をほぐし、力強いパワーを与えてくれる作品です。
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