女性に我慢を強いる空気は少しずつ変化している

「みんな〇〇派だけど、俺だけは真由派だぞ」男性社会の中にある、女性同士を対立させる構造【山口真由×中野円佳対談】_img0
 

中野 私たちが就職した2006〜7年ごろは、組織の中でも上のほうにはある意味で猛烈な働き方をしてサバイブした女性しかいなくて、いわゆる「名誉男性」(名誉白人になぞらえた、男性に認められている男性的見方をする女性のこと)や「チャック女子」(女性の見た目をしているが、背中にチャックがついていてそれを開けると男性がでてくる、つまり中身はほとんど男性と言うことが変わらない女性のこと)的な発想でないと生き残れなかったのだと思います。

 

でもマスコミ報道でいうと、2018年に財務省の事務次官によるセクハラをテレビ朝日の記者が告発した時や、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を務めていた森喜朗氏が「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」等の発言をしたときには、抗議の声が沢山あがりました。

上の世代の方々からは「自分たちが我慢したりわきまえたりしてきたから後輩にも同じ思いをさせてしまった」というような発言も多く聞かれて、その時に私は「私たちが我慢してきたんだから、あなたたちも我慢して」というような感覚はなくなってきたのかな、という気はしました。さらに私たちが下の世代に伝えることで、そうした空気が終わっていくといいですが。

山口 財務省も、その年に入省した20数名のうち女性が5人とかに増えていて、少しずつ変わってきているとは思います。課長のように決定権を持つ役職も女性になってきているので、たとえば職員用の保育室なども作るだけじゃなく、男性でも女性でも保育園を使う人は全員、例外的に車通勤を認めるようになるなどしているそうです。私たちより下の世代層も増えたことで、ずいぶん雰囲気は変わってきたと思いますね。

<第2回に続く>

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<書籍紹介>
『挫折からのキャリア論』

山口真由・著 日経BP・刊 1870円(税込)

東大を全優で卒業し、財務省に入省。その後、米ハーバード・ロースクールを卒業してNY州弁護士登録ーー。どこから観ても完璧に見えるキャリア、しかしその裏には、山ほどの失敗と人知れぬ悩みが。時間がかかった「自分探し」の末に見つけた「キャリアの軸」とは? 悔しい挫折や失敗を乗り越えて、前に進むエネルギーに変える「飴玉メソッド」も紹介。


撮影/塚田亮平
文/中野円佳
構成/山崎 恵
 

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