例えば日本のある大学で、100点満点の学力テストで入学者を選抜していたと仮定しましょう。比較的高い点数を求める大学の場合、ここで40点しか取れなかった人は不合格になるわけですが、スポーツができると特別枠で40点でも入学させていたというのが従来のいわゆるスポーツ枠です。
しかし、こうした選抜そのものをやめ、学力テスト100点、生徒会活動など諸活動100点、スポーツ芸術活動100点、地域活動など100点、プログラミングなど特殊技能100点の合計500点で点数を争うようにしたらどうでしょうか。
このケースでいけば、学力テストは40点でもスポーツが100点満点で、地域活動にも積極的ということになれば、全体としては高得点として評価されます。こうした学校外の活動がパターン化して、点数を取るためのマニュアルになってしまわないよう、その他「特筆すべき事項」として100点を加算するといった措置を加えてもよいかもしれません(こうした措置を加えることで、家庭の環境がよいだけで、お金をかけてそれっぽく見える材料をそろえて高得点を稼いでしまう行為を防げます)。
このように評価すれば、実力(学力)で入った、スポーツで入れてもらった、音楽で入った、といった考え方はなくなってくるでしょう。
また現実問題として、スポーツや芸術に秀でていたり、地域活動や生徒会活動、あるいは多くの人が感心するような特筆すべき活動を自ら行える生徒というのは、勉強もそれなりにできることがほとんどです(なぜならペーパー試験の結果というのはある程度までは努力で上げることができるからです)。大学入学後は、大学の中の単位の認定基準がありますから、何点で入った人であろうと、単位が足りなければ落第ということにすれば不公平は生じません。
佐々木選手がどのような基準で入学を許可されたのかはわかりませんが、スタンフォード大学を含む、多くの世界的な大学が上記で説明したような多面的な選抜システムにシフトしています。
単純な昭和の時代までは、工業製品を大量生産できれば豊かな社会を構築できましたが、高度にIT化が進み、社会が多様化している今の時代は異なります。幅広い視点で人材を選抜した方が、本人のためにも、そして社会全体に対する効果も大きくなることでしょう。今後は佐々木選手のような進学を希望する生徒が増えてくるのではないでしょうか。
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