大河ドラマを始め、ドラマ、演劇、映画に関するレビューや執筆に定評のある木俣冬さんが、改めて俳優・柄本佑の魅力について紹介します。
※未見の方は以下、ネタバレを含みます。

写真:ZUMA Press/アフロ

柄本佑が藤原道長で本当に良かった。大河ドラマ『光る君へ』(NHK)第12回まで見て、天帝に感謝の気持ちでいっぱいである。
 

 


道長は、『源氏物語』を書いた世紀の作家・紫式部ことまひろ(吉高由里子)を支えた人物として描かれている。
少年少女の時、運命的な出会いをしたまひろと道長がそれぞれ、作家と巨大な権力をもつ政治家になっていく中で、ずっとソウルメイトでい続ける物語は、第12回までが二人の青春時代。初恋だったけど身分違いのせいで悲しい別れを経験して、道長は出世のため、まひろの親友のような存在・源倫子(黒木華)に婿入りする。


第12回の段階で道長はまだ二十歳。だから、まひろへの接し方が若い。未熟。でもそれがまた良くて、毎シーン楽しませてもらった。

とりわけ、3回にわたって描かれた、まひろとのもどかし過ぎるすれ違い場面は、ロマンス感(それも悲恋の)満載であった。