日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。
今日ご紹介するのは、整形にまつわるモヤモヤエピソードです。
「私、整形するから」娘の爆弾発言
エピソードをお寄せくださったのは、おしゃれにはあまり興味がないというユリコさん(60歳・主婦)。
一人暮らしをしている娘が、年末年始に我が家に帰省。夕食中に突然、思いつめた顔で、「そういえば私、目の整形するから」と爆弾発言をして大騒ぎになりました。
我が家は、90歳になる私の母と、夫と私の三人暮らし。社会人になると同時に家を出た娘は、「家に帰ると、おばあちゃんもお母さんも色々うるさいから」と言ってお正月くらいしか顔を見せません。
大学時代からKポップが好きだった娘。いつもしっかりメイクをして、ファッションにもとてもこだわりがあるみたいです。
それにしても、整形とは! いきなりすぎていまだに心と頭の整理がつきません。娘が言うには、これまでもタルミをとったりおでこを膨らませたりするプチ整形はやっていたとのこと。それくらいであれば私たちに気づかれないにしても(実際、まったく気づきませんでした)目を二重にしたら絶対にバレると思ったとのこと。
娘は夫に似た一重まぶたで、子どもの頃からとてもコンプレックスに感じていたようです。中学生の頃からアイプチをしたり、一重まぶたの芸能人を真似したメイクをしてみたり、色々工夫をしていました。「でも、もうこれ以上目のことで悩みたくないの」と言っています。
整形なんて、まったく理解できません。30歳にもなって顔を変えるなんて周囲がどう思うでしょう。良い大人なのに顔のことばかり考えているようで恥ずかしい。これからお付き合いする人には言うの? 結婚して子供が出来たらどうするの?
夫も私も「絶対反対。整形なんてやめなさい」と強く言いました。母は、「そんなに嫌で辛いなら、仕方ないかもね」と意外と理解を示しています。娘は、「自分で考えて決めたことだから」と言って、それ以上の会話は拒否。ずっと電話したりメッセージを送ったりしていますが、答えてくれません。
人のコンプレックスは聖域
30代の娘さんの「整形します」宣言……。まったく心の準備なく聞いてしまったら、動揺してしまうのも無理ないと思います。ユリコさんからすれば、「どうして? そのままでいいのに!」ともどかしい気持ちになりますよね。
そんなことしなくていい!」と止めたくなる気持ちはよく分かります。リフトしたりヒアルロン酸を注入したりといった施術が徐々に一般的になってきて、いわゆる「整形手術」に対する世間の抵抗感も少しずつ薄れてきたのかなとは思いますが、普段そういった方面にアンテナをはっていない人からすると、まだびっくりしてしまいますよね。
一方で、人が抱えるコンプレックスというのは、それを抱えてきた年月が長ければ長いほど、その人を縛り、苦しめるものなのだと思います。ひょっとするとユリコさんの娘さんも、コンプレックスが原因で辛い思いや悲しい思いをしたのかもしれません。
「30歳にもなって顔を変えるなんて」とのことですが、もしかすると逆なのかも。
気にしないようにしたり、メイクでカバーしようとしたり……何年もずっとコンプレックスと戦ってきてやっとたどり着いたのが、今回の決断なのではないでしょうか。
コンプレックスは、その人の「聖域」のようなもの。たとえ家族とはいえ、それを一方的に否定してしまうのは、避けた方が良いように思います。
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