今回取材に応じてくれたのは、とにかく「キレやすい夫」から逃れるべく10年以上も試行錯誤を続けたという春奈さん(仮名・39歳)。まず驚いたのは、彼女が「記録」としてスマホに残しているメモ。夫の暴言や暴行、浮気、泥酔で暴れたという記録が、なんと300以上も保存されていたのです。
現在、「いつでも離婚できる」という彼女が夫婦に留まる理由とは……。
春奈さん(仮名)39歳
職業:自営業
家族構成:13歳年上の夫、中学生の娘
「男が外で遊ぶのは当たり前だろうが!」
「俺が面倒をみる、女は苦労して働かなくてもいい」
夫の言葉を信じ、新卒わずか3ヵ月で仕事を辞め妊婦となった春奈さん。しかし蓋を開ければ、夫は裕福な生活を送っていたものの、そのほとんど会社の経費であり、春奈さんが思っていたほどの余裕はなく、渡される生活費は月わずか5万円。
また夫は妊娠中の妻に構わず毎晩深夜まで飲み歩き、暴言や攻撃的な態度をとるように。春奈さんは戸惑いながらも出産し、一人育児に奮闘していました。
「夫が家に帰ってこないことも、育児をしないこともストレスではありましたが、でも子育てに必死で目をつぶっていました。少しでも私が何か言うと『男が外で遊ぶのは当たり前だろうが!』という自論をぶつけられましたが、専業主婦で養われて、赤ちゃんから手が離せない私はそれに反論することもできず。
でも、娘の1歳の誕生日に浮気相手と旅行はさすがにない。不倫相手に送るはずだったLINEの誤送で浮気がバレたとき、人生で初めて『キレる』という経験をしました。帰宅した夫を罵倒し、手元にあったモノを投げつけて……」
誤送されたLINEには夫と相手の女性とのツーショット写真もあり、浮気の証拠であることは明らか。ジャイアンのようないじめっ子気質の夫とはいえ、この状況なら動揺するかと思いきや、しかし夫はさらに逆ギレをし、春奈さんは大変な目に遭ってしまうのです。
「キレる私を前に夫は数分黙ってじっとしていましたが、突然思い切り肩をどつかれ、よろめいて玄関に倒れ込みました。次に『ガタガタうるせえんだよ、クソ女!』と怒鳴り声が響いたと同時に、顔面に衝撃を受けたんです」
呆然となった数秒後、耐えがたい顔面の痛みと口の中に広がる血の味で、春奈さんは自分が殴られたことを自覚しました。
そしてまだ怒りが収まらず、春奈さんに近づこうとする夫から必死で逃げ、赤ちゃんのいる寝室に鍵をかけると、警察を呼んだのです。
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