半導体受託最大手の台湾TSMCが進出した熊本県菊陽町や、外国人スキーヤーで賑わう北海道のニセコなど、各地で外国人あるいは外国企業によるバブルが発生していると報道されています。菊陽町の地価上昇率は全国トップとなり、ニセコではカツ丼一杯が3000円もするそうです。今までの日本の感覚からすると、あらゆるものが値上がりしている状況はバブルに見えるかもしれませんが、これらの現象はバブルではありません。

半導体受諾生産の世界最大手「TSMC」の台湾本社。写真:AP/アフロ

台湾TSMCは世界最大の半導体受託メーカーですが、日本政府が4000億円もの補助金を出して工場を誘致した結果、同社は熊本県菊陽町に巨大工場の建設に踏み切り、現在、第2工場の建設に取り掛かろうとしています。

巨大な半導体工場が相次いで建設されていることから、町には多くの人が集まり、台湾から多くの関係者が来日していることもあり、菊陽町ではあらゆるものの値段が高騰しています。住宅難や極度の人手不足も発生しており、こうした状況から、一部ではTSMCバブルと呼ばれています。
 

 


同じようなことが北海道のニセコでも起こっています。

ニセコのスキー場に降る雪は、世界のスキーヤーにとって垂涎の的となっており、以前から多くの外国人が訪れていました。同地がスキーの聖地として有名になるにつれて、外国人向けの飲食店が増え、長期滞在を想定したコンドミニアムも多数、建設されるようになりました。

外国人が主な顧客ということもあり、冒頭でも触れたようにカツ丼が3000円もする状況となっており、人件費の高騰が激しいことから、熊本と同様、やはりニセコ・バブルなどと呼ばれているようです。

国内では、訪日外国人による経済効果について「バブル」と表現することが多いのですが、バブルという単語を「実態が伴わない、いつかは消滅してしまうもの」という意味で用いているのなら、それは正しい表現とは言えません。

なぜなら、菊陽町やニセコで起こっている現象は、一時的な過剰消費が原因ではないからです。

非常に言いにくいことなのですが、同地で起こっている現象の根本的な原因は、日本が貧しくなり、先進諸外国との経済格差が拡大したことであり、これは一過性のものとは言えないのです。

 
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