手厚い支援の「介護予防・生活支援サービス事業」

総合事業には2つの種類があると先述しましたが、その内容も少しご紹介しておきましょう。まず、「介護予防・生活支援サービス事業」の利用対象者は、要支援者(要支援1、2)と基本チェックリスト該当者です。チェックリストの項目は、日常生活の様子や身体機能の状態、栄養状態、外出頻度、生活機能に低下が見られるかなど。65歳以上であればすぐに受けることができるので、希望者は自治体の窓口や地域包括支援センターに確認してみてください。

代表的なサービス内容は以下となっています。

健康寿命は平均75歳前後?窮地に陥るまえに親に勧めたい自治体の介護予防&生活支援事業_img0
 

利用するには、次のようなステップを踏みます。

① 相談→地域包括支援センターや市区町村の窓口で、総合事業の利用や要介護認定を受けるかどうかを相談する。

② 要介護認定の申請・基本チェックリストの実施→介護保険サービスを利用したい場合は要介護認定を受け、それ以外のときは基本チェックリストで心身の低下具合を確認する。

③ サービス事業対象者になる→対象者と判断されたら利用が可能に。生活機能の低下が見られなかった場合は、「一般介護予防事業」を案内してもらう。

④ ケアプランの作成→対象者となった場合、地域包括支援センターに介護予防ケアマネジメントの依頼書を提出して面接。希望も伝え、ケアプランを作成してもらう。 

⑤ 事業所と契約して利用開始→ケアプランに基づきサービスを開始する。
 

65歳以上の全国民を対象とした「一般介護予防事業」

一般介護予防事業は、65歳以上のすべての人が利用対象者となります。各市区町村の実情に応じて実施され、多くの自治体ではホームページなどで取り組み内容が公開されています。

体操教室、介護予防の講演会、サロンの開設、生きがい作りを目的としたサークル活動、介護予防ボランティア養成講座など、地域で開催されているさまざまな集まりに参加することができ、自治体の窓口で申し込みを行うだけで利用が可能です。

今回ご紹介した総合事業の利用は敷居も低いですが、ボランティアなどがサービスを担う場合、質と安全の担保にはまだまだ不安が残ります。また、介護資格がない人が携わることもあり、責任の所在が微妙でもあります。サービスを利用するのであれば、念のため確認も必要になりそうです。


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

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