悪質なコメントからアーティストの心守る仕組み・対策


――たしかに、ファンの間でも、誰かがWeverseの画像を他のSNSに転載しようとすると、注意し合う、自浄作用があるのを見かけます。一方で、ファンとの距離が近くなることによって、誹謗中傷等のトラブルが起こる可能性もあったりすると思いますが、どのように対応していますか。

ムン:大きく2つあります。システム的な対策と管理面。システム的な対策としては、AIでセンサーリングやモニタリングをしています。同じ問題を何度も起こす人に対しては、法律面でもしっかり検討して提示するようになっています。

――AIで対策をすると同時に人間の目も入っているのですね。

ムン:はい、両方で。これまでサービス全体に影響を及ぼすほどの大きなトラブルが発生したことはありません。たまに管理者がチェックしていた時に何か発覚したケースはありますが、いち早く対応するようにしています。
 

 


ファンの心に寄り添えるアーティストが、上昇気流に乗れるのかもしれない


――SNSの時代になってから、ファンとアーティストの関係が大きく変化しています。「強いアーティスト」の条件は、SNS以前と比べてどのように変わってきたと考えていますか。

ムン:テレビのように流れてくるものを受け取るコミュニケーションだった時には、画面に映るイメージがすごく大事でしたよね。いわゆる神秘主義。

――ものを食べている姿を見せないようにしていた俳優さんやアーティストもいました。

ムン:ノーメイクの顔は見せない。本人以外はすっぴんを見たことがない、そんな話もありました。でも今は、神秘のベールは脱いで積極的にファンの声を聞きたいと思うアーティストも増えてきました。これは個人的な意見ですが、自分がファンに何を望まれているのか、よくわかっているアーティストが強い。ファン、特にコアなスーパーファンとコミュニケーションを取ることで、分かるようになるファンの気持ちもあります。トレンドをちゃんと読み、ファンの心に寄りそえるアーティストが、上昇気流に乗れるのではないかと感じています。

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画像提供/WEVERSE COMPANY

――Weverseで集めた反響やリアクションなどのデータは、事務所はもちろんアーティストも見ているのですね。

ムン:もちろんです。アーティストの活動から得たデータは、インサイトデータというシステムで具体的な数値を取得して、アーティストやレーベルに定期的にレポートを送っています。事務所からもっと詳しく分析したいという要望があれば、設計分析ツールを使って、それを直接チェックできるようにしています。生データを見ながら分析できるように提供しています。

また、アーティストからの意見も取り入れ、複数のアーティストが一緒に行う「合同LIVE配信」機能が4/18に実装され、今後機能を拡張していく予定です。日本のアーティストからは、「ライブ中の自分のコメントやユーザーのチャットがリアルアイム翻訳されると世界中のファンとコミュニケーションが取れるから、そういう機能が欲しい」という声がありました。それを受けて上半期には、発話言語が韓国語の場合は全12言語に翻訳され、発話言語が日本語の場合は全4言語に翻訳されるサービスがスタートします。