何もかも完璧にこなすことは難しい…
――小学校受験を検討していない場合でも、子どもと一緒に好奇心や探究心を育む時間を設けることは、親にとっても成長の機会になりそうですね。
青木:そう思います。私は子どもたちを小学校受験させましたが、それが彼らにとって正解だったかどうかは、まだ在学中の現時点では分かりません。ただ親としては、我が家は夫が割と放任主義なこともあり、小学校受験というきっかけを設けなければ、子どもの教育についてここまで深く考えることはなかったと思います。子どもと真剣に向き合い、“前向きな手のかけ方”を模索した経験しが今後の財産になりそうな予感がしています。と言いつつ、今でも子どもにガミガミ怒ってばかりだし、反省してばかりの母親なのですが(笑)。
――かつては青木さんも子育ての情熱が空回りしたことがあるんですか?
青木:子どもと一緒にスキーに行ったとき、自分の能力を過信して靭帯を痛めてしまったことがあります。上の子は夫に任せて、私はスキー初挑戦だった下の子どもが転ばないように支えていたら、まんまと自分だけ転倒してしまって……。仕事に穴を空けてしまって、猛省しました。「頑張りすぎてはいけない」と思いつつ、私はスキマ時間にも予定を詰め込むことが好きなので、いつの間にか疲れが溜まって脇腹に帯状疱疹ができてしまったこともあります。
――子育て、家事、仕事、趣味など、やりたいことがたくさんあるなかで、青木さんはどんな基準でバランスを取っていますか?
青木:何もかも完璧にこなすことは難しいので、私の場合は自分の中で優先順位を決めるようにしていました。社会人になったばかりの頃は仕事が最優先でしたし、出産後は子育てを重視すると決めたので、迷ったときはそこに立ち返るようにしています。ただ、私は子どもの生活リズムを安定させることに力を入れてきて、だいたい夜は21時前に寝てくれるので、意外と一人時間がちゃんとあるんですよ。おかげで好きなドラマをリアタイで見ることができています(笑)。子どもにとっても私にとってもメリットが大きい習慣だと思っています。
――ちなみに青木さんも旦那さんもテレビ業界で生きてきた人ですが、お子さんが接するコンテンツや視聴時間にルールは設けているのでしょうか?
青木:特に制限は設けていません。子どもと夫はDAZNでサッカーの試合ばかり見ています。私と夫がYouTubeを見ないので子どもも興味を示さないのですが、今後は思春期を迎えるので、テレビやネットとの接し方に悩む時期が訪れそうですね。刺激的なコンテンツを見たがるかもしれないですが、男子特有の感性についてはなるべく口を出さす、夫に任せたいと思っています。
――本当に子育ては悩みが尽きないものですよね……。
青木:これだけ効率が重視される時代なのに、子育てほど非効率なプロジェクトはないですよね(笑)。きっと、どんなに時代が変わっても子育てが楽になることはないんですよね。だからこそ、楽をする方法を考えるのではなく、親も一緒に楽しむ子育てを考えていきたいと思っています。
<INFORMATION>
『3歳からの子育て歳時記』著:青木裕子
FRaUwebの人気連載『子育て歳時記』を書籍化。3歳から親子で楽しめる12カ月のさまざまな体験を、自身が実践した具体例とともに紹介。子どもの小学校受験についての振り返りや失敗談など、子育てに悩むリアルな姿を綴った「教育お悩みエッセイ」も収録。小学校受験、中学受験、探究学習のプロによるアドバイスも。定価:1650円(税込)。
撮影/柏原力
取材・文/浅原聡
構成/坂口彩
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