最近気になる人・憧れる人を思い浮かべると、20代の頃に憧れていた人とは違った雰囲気の女性ばかりであることに気づきます。
感情が安定していて、いつも穏やかな雰囲気の人。
さりげない「その人らしさ」が光る人。
他人に振り回されず、自己肯定感の高い人。
若い頃に憧れていたのは、華やかなオーラをまとい、激しい競争社会を勝ち抜いてきたような人。強いカリスマ性で周囲を従えているような人のことを、仰ぎ見るようにしていたのを思い出します。
そして「あんな風になれたらいいのにな……」とため息をつく心には、「私にはとても無理」というあきらめと「恵まれている人はいいな、ずるいな」というザワザワが。人々を「勝ち組」と「負け組」に分ける社会構造は、思った以上に私たちの心に深く根を下ろしていたようです。
しかし今、多くの人の心をとらえているのは「かざらないひと」。
『かざらないひと 「私のものさし」で私らしく生きるヒント』は5人の女性のインタビュー集。フリーアナウンサーの赤江珠緒さん、家政婦・料理人のタサン志麻さん、医学博士・産婦人科専門医の高尾美穂さん、フリーアナウンサーの堀井美香さん、「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤友子さんが登場します。
「その存在に、とても心が惹かれるけれど、心がざわざわしない人」
本書を刊行したのは、月と文社。同社代表の藤川さんは、2023年まで日経WOMAN編集長をつとめた後、退職して、一人で月と文社を立ち上げたという経歴の持ち主です。藤川さんがこれまで取材で出会ってきた女性たちの中から、独特の魅力を放つ5人の女性にインタビューをしてまとめたのが本書となっています。
藤川さん自身が心惹かれる5人の魅力を、ナチュラルな表情が光る写真たち・幼少期から人生を振り返るインタビュー、それぞれの愛用品紹介などで深掘りしてまとめられています。
強烈なインパクトがあるわけではないけれど、穏やかな意志を感じる女性たち。彼女たちを見ていると素直に「素敵だな」と思うけれど、不思議と心はざわつかない。その魅力の秘密はいったいなんなのだろう……と考えを巡らしていると、「信頼」がキーワードではないかと思い至りました。
今回は、堀井美香さんと佐藤友子さんのインタビューから、「彼女を信頼できるワケ」を紐といていきます。
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