美智子さまのケープスタイルを受け継がれる
――翌日の神武天皇陵へのご参拝は、薄墨色の参拝服をお召しでした。
石原さん:お墓参りですよね。薄墨色は皇室独特の喪の色です。薄墨色は、昔訃報を知らせる手紙を書くときに使われた色です。「墨をする時間もないほど、急いでお知らせします」「涙で墨の色が薄くなってしまいました」といった意味が込められています。喪中はがきなどでも使われていますね。ケープドレスを見て、「ああ、美智子さまのスタイルを受け継がれたのね」と思いました。
――まるで美智子さまがお出ましになったかのようでしたね。
石原さん:そうですね。ケープスタイルは、美智子さまおひとりだけの究極スタイルです。かつて、美智子さまの専属デザイナーだった植田いつ子さんが「美智子さまならではの独自のドレスをおつくりしたい。エレガントでロマンがあり、機能的にも優れているドレスを」と考え、美智子さまとご相談しながらデザインしたのがケープドレスだったんですよ。国民にご挨拶なさったり、手を挙げられたり、花束を受け取ったりされることが多い美智子さまにとって、前のあいたケープスタイルはとても優れたデザインなのです。
美智子さまが愛されたスタイルのドレスをお召しになったのは、美智子さまへのご尊敬からなのでしょう。美智子さまのお心を受け継ぎ、こうありたいというお気持ちが、素直にお召しものにあらわれているように感じます。それだけのお覚悟を感じますね。とてもエレガントで落ち着かれていて、ご立派でした。
――愛子さまのこれからのお出ましが、ますます楽しみになりました!
もう一度見たい! 美智子さまのエレガントなケープスタイル
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●石原裕子(いしはら・ゆうこ)
ファッション評論家。長年に渡りパリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのプレタポルテコレクションを取材し、世界のファッション業界事情に精通している。即位関連の一連の儀式の間、メディアで雅子さまの装いを分かりやすく解説。現在、テレビ・雑誌・講演などで活躍中。「ファッションチェック」という言葉の発案者でもある。
●聞き手
高木香織(たかぎ・かおり)
出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。
キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
バナー写真/JMPA
構成・文/高木香織
編集/立原由華里
前回記事「【愛子さま】誠実で前向きな気持ちが感じられる、フレッシャーズスタイルの3つの魅力と、雅子さまの影響とは?」>>
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