14歳でモデル活動をスタートし、現在はCMや40〜50代向けの女性誌でモデルとして活躍する菜木のり子さん。57歳になった今でも「Tシャツやデニムなどカジュアルなアイテムで全体的に少し着崩すのが好き」という菜木さんの、50代の今だからこそ楽しめる大人のカジュアルスタイルをALL私服コーディネートでご紹介します。
仕事で求められるイメージの反動から、
10代〜20代前半はいつも黒い服ばかり着ていた
「小さいときから洋服が好きな子どもで、14歳でティーン誌のモデルとして活動をスタートしました。見た目の印象からか、仕事では親しみのあるイメージを求められることが多く、その反動からなのか私生活ではモードな服を着たい欲求が強くあり、10代、20代の頃はコムデギャルソンやヨウジヤマモトのような全身真っ黒な服ばかり着ていました。
そんな私が今のようなカジュアルなスタイルに目覚めたきっかけは、25歳〜27歳まで過ごしたパリでの生活でした。当時はCMの仕事がすごく多かったので、モデルと並行して演技の仕事も少しずつ始めていたのですが、演技の世界は想像していたよりもずっと大変で、現場で名前すら呼んでもらえないような状況に辟易していた頃でした。ちょうど当時のボーイフレンドがパリで仕事をしていて、私も「この仕事、この先どうしようかな」なんて考えていた時期だったので、「いっそのことパリに行っちゃおうか?」という軽い気持ちでフランスに渡りました」
例えばカーディガンのボタンを2つ3つあけて着る。パリでの生活が洋服を着ることの新たな楽しさを教えてくれた
元々自分の強い意志でパリに来ているわけではないという中途半端さへの葛藤はあったものの、ファッションや景色は素晴らしくて素敵だったし、得るものはたくさんありました。特にファッション。それまでは全身真っ黒な服ばかり着ていたけれど、パリに行ったらそんな全身真っ黒い服の若い子なんて全然いなくて。デニムに丸首カーディガンのボタンを二つ三つあけて着るといったようなパリジェンヌたちのこなれた着こなしを見たとき、「洋服って楽しいかも!」と、今までと違う視点でファッションを楽しめる気がして、それが今の自分のカジュアルな着こなしにも繋がっていると思います。
それと、パリは食べ物が美味しいので、行ってから15キロ太ったこともあり(笑)、着るものがなくなってパートナーのデニムを穿いたりしていたことも、カジュアルなスタイルをするようになったきっかけかもしれません。
ファッションも人生も、ちょっとはみ出たり崩したりするのが自分らしいスタイル
「例えば拝みたくなるような高価で美しいバッグにはチャーミングなキーホルダーを付けたり、きれいなドレスにはコンバースのスニーカーを合わせたり。どこかを崩して自分に引き寄せるひと手間を加えるのが私の好きなスタイルです。常にオーディションを受けて二位はない世界で生き、たくさんいるモデルの中で自分を選んでもらうためのオリジナリティを考え続けた結果、ファッションも自然とそういう気持ちになっていったのかもしれません」
第一回目の今回は、今の菜木さんにとって白シャツより馴染むという「麻のシャツ」のコーディネートを紹介します。
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