モデル菜木のり子さんの私服コーディネートをお届けする企画、最終回は菜木さんにとって定番アイテムであるドレスとボーダーカットソーの着こなしをご紹介します。数年前にワードローブを大幅に減らすことでむしろ着こなしのレパートリーが広がったという菜木さん。サイズ選びや小物合わせのちょっとしたコツを教えてもらいました。
たくさんの服を手放したことと引き換えに、おしゃれのアイディアを手に入れた
「数年前、ワードローブを5分の1に減らす出来事がありました。それまでの私は着るものに多くを頼っていて洋服はいわば鎧代わりでもあったため、枚数やバリエーションが必要だったのですが、“人からどう見えるか”よりも“自分がどうありたいか”の方にフォーカスするようになったら、似たような服を制服のようにマイナーチェンジしながら着ることに抵抗がなくなっていったんです。服を着ることへの力みがなくなったというか……。
ワードローブが減ったことで、今持っているものでなんとかおしゃれをしようと考えるようになり、逆に着こなしのレパートリーも広がりました。たくさんの服を手放したことと引き換えに、おしゃれのアイディアを手に入れたような感覚です」
きれいめドレスは、大きすぎるバッグやスポサンでちょっと変なバランスにするのが私らしい
ドレスはずっと私の定番アイテムではあるのですが、それまでの私のおしゃれは、新作のドレスを次々と着るようなスタイルでした。自分の頭で考えることを放棄していたというか。それがワードローブが減ったことで、あるものをそのまま着るというよりは、「私が持っているもので何ができるだろう?」と試行錯誤するようになり、丈やサイズにこだわったり合わせる小物で工夫をするようになりました。視点が変わると着こなしのアイディアが変わるんですよね。
今回着たのはシンプルできれいなドレスなので、わざと大きすぎるかごバッグを合わせたり足元はスポサンを履いたり。小物で少し変なバランスになるようにしています。ストローハットは甘くなりすぎないように、てっぺんが丸くない、フラットなものを選ぶようにしています。
定番のボーダーカットソーは身幅広め&短め丈が今の気分
ボーダーカットソーも私にとっての定番アイテムですが、ベーシックなものほど時代性が出やすいもの。今の自分にしっくりくるのは、身体が泳ぐくらいゆったりとしていて、身幅が広く丈が比較的短めのもの。こういったちょっとした差に気づくようになったのも、ワードローブを減らして、自分にとっての定番アイテムをマイナーチェンジしながら着るようになったからだと思います。
デニム合わせもいいけれど、今回はレザーのスカートを合わせてみました。足元はスポサン、バッグはハイブランドのものにして、力が抜けたミックスカジュアルに見えるといいなと思いながらスタイリングしてみました。
撮影/目黒智子
着用・スタイリング/菜木のり子
ヘア&メイク/甲斐美穂(ROI)
構成・文/堂坂由香
第1回「シミやシワは私のキャラクターのひとつ。麻のシャツは、ドライな大人の肌だからこそ似合う【菜木のり子さんの50代ファッション】」>>
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