美智子さまが納采でお召しの帯は紀子さまへ

美智子さまが納采の儀でお召しの大振袖は、美しい高貴な君子にたとえられる梅、菊、蘭、竹を描いた格調高い四君子の総模様。そこに唐錦菊様紋の丸帯を締められていました。

【天皇・皇后両陛下、31回目の結婚記念日】雅子さまが「納采の儀」でお召しになった大振袖、そして華やかで美しい「帯」に隠された秘密とは?_img0
納采の儀の際の美智子さま。丸帯は紀子さまへ。写真/宮内庁提供

この帯は、当時の皇后良子さまから美智子さまへ譲られたものでした。その帯を、息子に嫁いでくる紀子さまへ贈られたのです。

大振袖は、美智子さまが自ら注文されたものでした。初々しい薄紅色の手描き友禅で、貝合わせの桶を模様にした貝桶紋様に、肩には縁起のよい松があしらわれ、裾には波頭で斜めに道長取りした文様に梅の花が散りばめられています。貝は2枚で一対であることから、夫婦円満の願いが込められているのです。

紀子さまは、次男の嫁として初めて天皇家に入られました。その納采の晴れ着を準備された美智子さまは、このような歌を詠まれています。

「窓」
嫁ぎくる人の着物を選びをへ仰ぐ窓とほき夕茜雲

美智子さまの喜びが感じられる、やさしいお歌です。こうして、良子さまから美智子さまに譲られた美しい2本の帯は、それぞれ二人の息子の嫁に贈られ、伝えられているのです。

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美智子さまから贈られた帯をお締めになった紀子さま。写真/JMPA


参考文献/『美智子さま 貴賓席の装い』(ネスコ/文藝春秋)、『天皇家の姫君たち 明治から平成・女性皇族の素顔』(文春文庫)、『皇室ファッション大全 素敵な装いルールブック』(宝島社)以上、渡辺みどり著・監修、『美智子さまのお着物』(朝日新聞出版編、朝日新聞出版)『新しい時代とともに――天皇皇后両陛下の歩み』(宮内庁侍従職協力、毎日新聞社)、宮内庁ホームページ


高木香織(たかぎ・かおり)
出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
 

バナー写真/JMPA
構成・文/高木香織
編集/立原由華里


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