皇太子明仁親王殿下がエリザベス女王の戴冠式にご出席


1953年には、皇太子明仁(あきひと)親王殿下(今の上皇陛下)が昭和天皇の名代としてエリザベス女王の戴冠式に参列されました。昭和天皇が訪英されたのと同じ19歳、はじめての欧州訪問は、第二次世界大戦が終わってわずか8年後のことでした。

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1947年、エリザベス王女(当時)とエディンバラ公は結婚。そのわずか5年後に女王として即位し、翌年に戴冠式が行われました。写真:Press Association/アフロ

3月30日に横浜港からプレジデント・ウィルソン号に乗船され、太平洋航路でカナダを経由してイギリスにご到着。訪英のもっとも大きな目的はエリザベス女王の戴冠式に出席されることでしたが、そればかりでなく、「第二次世界大戦で疲弊した日本を国際社会に再登場させるためのさきがけになる」という使命感をお持ちでした。人々が集まってくれば笑顔で応え、「この旅行が日本のプラスになるなら何でもする」というお気持ちが伺えたといいます。

 

明仁親王殿下は、その役目を見事に果たされました。6月2日に行われた戴冠式では、ウェストミンスター寺院での明仁親王殿下の席次は最前列の中央から13番目という厚い待遇でした。エリザベス女王は、このとき27歳。真紅のローブをまとい、堂々たる風格の新しい女王はカンタベリー大司教から重さ約2キログラムもの純金製の王冠を戴冠されました。戴冠と同時に、ロンドン塔付近から62発の祝砲が轟きます。バッキンガム宮殿に戻るパレードは2マイルにもおよび、英国の歴史と伝統を誇る荘厳な戴冠式でした。

6日には、明仁親王殿下はダービーを観戦されました。晴天のエプソム競馬場は観客であふれんばかり。ロイヤルファミリー席には競馬好きの王族が顔をそろえ、明仁親王殿下はクイーンのスタンドに招かれ、エリザベス女王と一緒に競馬を楽しまれたのです。