【雅子さま】外務省職員として研修に励まれる

一方、雅子さまもピアノを趣味にされていました。クラシックもお好きで、ご結婚前にご自分で車を運転されていたころには、愛車にカセットテープを置かれていたといいます。ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第二番」「ピアノ協奏曲第三番」、シューベルト「ピアノ五重奏〈ます〉」、ブラームス「バイオリン協奏曲」「ピアノ協奏曲第二番」、ドビッシー「映像」、ワーグナー「ファウスト序曲」などがお気に入りでした。

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1973年、発表会でピアノを演奏される小和田雅子さん。写真:宮内庁提供

ご結婚されてからは、浩宮さまとご一緒に音楽を楽しまれたいからと、フルートのレッスンも始められました。きっと、お二人で合奏を楽しまれていることでしょう。

さて、雅子さまは学業は卒業され、外務省の省員としてオックスフォード大学ベーリオール・コレッジに留学されました。国際関係論の修士課程で研修されるのが目的でした。

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外務省の研修でオックスフォード大学ベーリオール・コレッジに留学された雅子さま。写真:宮内庁提供

雅子さまはお父さまが外交官ということもあり、海外生活が長かったことや、米国ハーバード大学でも学ばれていることから、外国人との交流も自然体でこなされます。

そのころの雅子さまは、ご結婚などまったく頭になかったことでしょう。オックスフォード大学で国際関係論を学び、帰国して外交の世界で活躍される道を歩まれていたのです。1990年に帰国されてからは、外務省北米局北米二課に配属されてキャリアを積まれる、トップクラスのキャリアウーマンだったのです。

 


人と人との交流が平和な世界につながる

今回の英国公式訪問は、もともと2020年春に今は亡きエリザベス女王からのお招きで予定されていたものでした。新型コロナウイルスの感染拡大によって保留となり、ようやく実現されることになったのです。

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エリザベス女王の在位は70年間。英国君主としては歴代最長です。写真:PA Images/アフロ

天皇陛下は、皇室と外国との交流についてこう述べられています。
「国と国との間では、さまざまな緊張関係が今も存在しますが、人と人との交流が、国や地域の境界を越えて、お互いを認め合う、平和な世界につながってほしいと願っております」

イギリスは天皇陛下と雅子さまにとって、青春の日々を過ごした懐かしい国。今回のイギリス訪問が国同士のおだやかなつながりを深めるとともに、幸せそうな天皇陛下と雅子さまを見つめる私たちの心にも、やさしい思いを感じさせてくれることでしょう。


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参考文献/『テムズとともに――英国の二年間』(徳仁親王著、紀伊國屋書店)、『天皇皇后両陛下の80年 信頼の絆をひろげて』(宮内庁侍従職監修、毎日新聞社)、『新しい時代とともに――天皇皇后両陛下の歩み』(宮内庁侍従職特別協力、毎日新聞社)、『美智子皇后と雅子妃 新たなる旅立ち』『美智子さま雅子さま 涙の日、深まる絆』(ともに渡辺みどり著、講談社)、宮内庁ホームページ


高木香織(たかぎ・かおり)
出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
 

バナー写真/JMPA
構成・文/高木香織
編集/立原由華里


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