記憶喪失を描いた物語が乱立していた春ドラマ。クールごとの傾向はあるといえど、ここまで固まるのも珍しいですよね。そのなかだと、個人的には、『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)が好きでした。記憶障害を抱えている主人公の苦しみを丁寧に描きつつも、障害に重きを置きすぎない。どちらかといえば、主人公が働く脳外科にやってくる患者たちの病状がメインを占めている回もあったりして。障害がその人のパーソナリティのすべてではないと伝わってくる構成があっぱれでした。
さて、そんな春ドラマも続々と最終回を迎え、次は夏ドラマがスタート! 来期の傾向で注目したいのは、“シングルファーザーもの”と“学園ドラマ”がそれぞれ2作品ずつ放送されること。
シングルファーザーものは、2021年の『#家族募集します』(TBS系)が記憶に新しく、なかなか描かれることがなかったテーマだし、教師が主役の学園ドラマも最近は時期が被ることが少ないから、期待の若手陣を一気にたくさん知ることができるのもうれしい!
ということで、今回はシングルファーザーものの『海のはじまり』(フジテレビ系)と『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)、そして学園ドラマの『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)と『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)を取り上げながら、それぞれの見どころを分析していきたいと思います。
目黒蓮 & 松村北斗がシングルファーザーに!
まずは、目黒蓮さん主演の“月9”ドラマ『海のはじまり』。学生時代に突然姿を消した彼女が亡くなり、葬式に参列すると、そこには彼女が内緒で産んでいた血のつながった娘がいて……という展開、相葉雅紀さん主演の『マイガール』(2009年・テレビ朝日系)にかなり似ているなぁと思ったのですが、『海のはじまり』の場合は、目黒蓮さん演じる夏に現在進行形の恋人がいるようです。
しかも、その恋人・弥生を演じるのは有村架純さん。『マイガール』の正宗くんは恋人がいなかったので、自分の人生と向き合うだけでよかったわけだけど、夏の場合は弥生のことも考えなければならない。さらに、弥生は28歳の海より年上らしいので、そろそろ結婚かな〜なんて思っていた時期かもしれないですよね。そんなときに、彼氏の娘が現れたら……想像しただけでも、苦しい、苦しすぎる。
浮気をしたとかなら、まだ吹っ切ることもできたかもしれないけれど、夏が亡くなった水季(古川琴音)と交際していたのはかなり前で、もちろん娘の存在も知らなかったわけだから、怒りのぶつけどころがない。なんだか、弥生に感情移入して今から苦しくなっています。
大竹しのぶさんや池松壮亮さんなど豪華なキャスト陣に加えて、脚本は生方美久さん、監督に風間太樹さん、プロデュースに村瀬健さんと、大ヒットドラマ『silent』(2022年・フジテレビ系)の製作陣も集結。これはもう。ハズレるわけがない! と放送前から全信頼を置いております。生方さんが紡ぐ心に刺さる台詞にまた出会えるのも楽しみです。
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