そもそも熊野ってどんなところ?


「熊野」とは、紀伊半島の南端部、和歌山県南部〜三重県南部の地域です。このエリアには「熊野三山」と言われる熊野の神々を祀る本宮(熊野本宮大社)、新宮(熊野速玉大社)、那智山(熊野那智大社、那智山青岸渡寺)の3つがあります。

木々が鬱蒼と茂った山が幾重にも連なる風景は見るからに神秘的で、古代の人々がその自然に神が宿ると考え、崇拝したことが信仰の原点だそうです。熊野本宮大社の信仰の原点は「森」。熊野速玉大社の摂社(本社に付属し、その祭神と縁故の深い神を祭った神社)である神倉神社では「ゴトビキ岩」という巨石を祀っています。そして熊野那智大社の信仰の中心は「那智の大滝」です。

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熊野の那智山青岸渡寺と那智の大滝。

その後、平安時代の神仏習合の考えから、熊野本宮大社では阿弥陀如来、熊野速玉大社では薬師如来、熊野那智大社では千手観音をお祀りし、熊野三権現として広く信仰されるようになったといいます。
 

 


熊野古道、熊野詣って?


熊野は古代より特別な地域と考えられており、平安時代には皇室や貴族が都から熊野を目指しました。中でも後白河法皇は34回、後鳥羽上皇は28回熊野詣を行ったそう。その後の熊野詣は庶民にも広がり、女性や庶民に至るまで旅人が途切れることなく、行列ができた様子から「蟻の熊野詣」と言われるほどだったとか。

熊野古道には、いくつかのルートがあります。京都からは、大阪・和歌山を経て田辺(紀伊半島西側)に至る「紀伊路」、そして田辺から山中に入り、熊野本宮を経て那智や新宮に向かう「中辺路(なかへち)」を通りました。そのほかに、田辺から海岸線をとおって那智・新宮に向かう「大辺路(おおへち)」、高野山から熊野へ向かう「小辺路(こへち)」伊勢と熊野を結ぶ「伊勢路」などがあります。

これら熊野三山と高野山、霊場を結ぶ参詣道と吉野・大峯と熊野本宮をつなぐ山伏たちが通った厳しい修行の道「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」は、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録されました。それから20年。熊野は今、ますます注目を集めているのです。