「ピンクゾーン」から出なければ何も始まりません

人脈ゼロ・語学力ゼロでモナコに移住。専業主婦だった女性が、50歳から「手放したもの」とは?_img0
地中海の海が見える、パレスエリアのメゾンから。

居心地のいい場所、気の置けない友人、失敗することがなくなった仕事。こうした、「体になじんだ心地いいもの」を誰しも1つは持っていると思います。そんな大切なものたちが、あなたの明日へつながる活力や前に進む力に変えられているとしたら、私からは何もお伝えすることはありません。

けれど、そんな居心地のよさに少しでも焦りや停滞感を覚えているなら、今あなたは「ピンクゾーン」を抜け出すときが来ているのかもしれません。

「ピンクゾーン」とは、「あたたかな幸福感に包まれた自分だけの安全地帯」のことで、私が考えた言葉です。

意見を言えばみんなが「そうだね」と言ってくれる。摩擦も失敗も起こる心配がない。そんな人間関係、職場や仕事は、自分にとって精神安定剤のような役割を果たすかもしれません。かつては必死に戦って手に入れたはずの安全地帯を、普通ならば誰も「自らすすんで手放そう」とは考えないでしょう。

だから、私からはあえて言いたいのです。あなたの未来への可能性を阻んでいるのは、あなたを幸福感で包む「ピンクゾーン」かもしれないと。

 

 

安全地帯は、成長を「足止め」する魔力を持っている


「ピンクゾーン」では予測不能なこと、あなたの想像の範疇を超える出来事はほとんど起こりません。それはつまり、あなたをハッとさせる気づきを与えたり、闘争心や野心を搔き立てるような出来事も起こり得ないということです。

「ピンクゾーン」は、幸せと引き換えに、挑戦心や向上心を奪っていく「ぬるま湯」とも言い換えることができます。私たちの人生はあっという間であるにもかかわらず、一度足を踏み入れた「ピンクゾーン」は、あなたを抜け出させないように、長い間足止めする魔力を持っています。

今、自分がそこにどっぷりと浸かっているかどうかを確認するために、次のようなシチュエーションを想像してみてください。

①あなたのアイデアが煮詰まったとき、真っ先に誰に相談しますか?
②上司に頼まれた仕事は、「あなたが得意な仕事」と「経験したことがない仕事」でした。どちらかを選んでやってほしいと言われたら、どちらを選びますか?
③親しい仲間たちとの飲み会と、初めて参加する異業種交流会。いずれも同じ日の開催だとしたら、どちらに参加しますか?

①〜③の状況をイメージする中でそれぞれ、①自分が話しやすい親しい人の顔を思い浮かべた、②得意な仕事を選択した、③気の置けない仲間たちとの飲み会を優先した、のなら、あなたは今、自分にとって心地よい場所を手に入れられている証拠です。

そのぶん、本来であればつかめたかもしれない、新しい発想、新しい経験値、新しいご縁を手放す選択をした、ということでもあります。