食事の約束は1時間以上遅れてくるのが常。ミネラルウォーターだけ飲みながら、お店の方に申し訳ない気持ちで待った。予定のドタキャンも当たり前。しかも半分は連絡がないまま、すっぽかし。
初めてA氏の家に招かれ、料理教室で習った鍋料理を作ってあげると約束の日。土鍋もないというので張り切って、うちから土鍋を入れた紙袋と、すべての食材を詰めた重たいスーパーの袋を、両手いっぱいに持ってA氏宅を訪ねた。ところが、ピンポンしても出ない。何度か携帯を鳴らして、ようやく繋がった。急な仕事でさっき出たから今日は無し、うちにも入れないから帰ってください、と言われ、一方的に切られた。
え……この大量の食材はどうしたらいいのか、準備をした私の立場は? 私から電話しなかったら、そのまますっぽかされていたのか? あまりのショックに涙が溢れ、そのままマンション前の歩道にヘナヘナと座り込んだ。親友に電話して、慰めてもらいながら、一緒にお鍋を食べた。
今思えば、その辺りで別れるべきだった。でも、“Love is blind”。その時の私は、この人を逃すともう私にチャンスは来ない、と思い込んでしまっていた。
ヒドイ仕打ちがどんどん増えた。面と向かって「顔が好みじゃない。気持ち悪い」と言われたり。年越しの海外旅行に「忙しいから、手配などすべてやってくれるなら行く」と言われ、手配どころか、結局数十万の旅費を私がすべて払ってお連れした。
そして、一番傷ついた事件がその旅の途中、大晦日に起きた。私に隠れるようにして、自分の家族に電話していたのだ。問い詰めると「あなたと話してほしくないから、年越しの挨拶の電話をひとりで済ませてきた。はっきり言って、家族に紹介したくもないし、あなたとは結婚も考えられない」と。
言葉にならないほど傷ついた。私がそんなに恥ずかしい存在ならば
この一件でようやく目が覚め、私の方が決意した。最後、物も返したいし、話がしたい、と言っても「忙しい」の一点張りで、時間も作ってくれなかった。「郵送で送ってほしい」とだけ連絡が来た。
私の3年を返せ、と思っても返ってこない。ので、きっとこれまでに私が恋愛で人を傷つけたことがあるとしたら、その罰を受け、清算する機会をいただいたのだ、と思うことにした。これで、私の恋愛カルマは解消されたはず。
しかし、価値がない、魅力がないと態度や言葉で示し続けられたため、私の自尊心はズタボロだった。そこから抜け出させてくれた人がいる。それは、まだ夫ではない。続きはまた。
前回記事「「番組が終わったのは住吉さんのせい」傷つきながら試行錯誤して行き着いた、50代の「自分働き方改革」【住吉美紀】」>>
Comment