人類の存続・繁栄は内向型が支えてきた

「内向型人間」はもう生きづらさを感じなくていい!現代社会に必要とされているその性質を解明_img0
 

外向型だけでは組織は成立しないことは、人類の約200万年の歴史からも裏付けられます。これほどの長い間にわたって人類が存続し、繁栄してきたのは、外向型ではなく内向型が人類を支えてきたからなのです。

当たり前ですが、人間も生き物です。弱肉強食の世界を生き残らなければなりません。ですから、私たちは時に利己的になります。学校や職場で自己主張が非常に強い人は皆さんの周りにもいるはずです。

 

ただ、人類の歴史は教えてくれます。

利己的なふるまいをしていては生き残れなかったのです。

21世紀の今、日本はもちろん、食べるのに困らない国が大半です。ただ、人類史を俯瞰すれば、それは200万年の中でも最近100年くらいの現象です。食糧が安定的に供給されなかった時代があまりにも長く続きました。

利益を一時的にも最大化するには利己的にふるまうことが合理的ですが、それだと種は存続できません。利己的な人ばかりでは潰し合うことになります。例えば、狩りに出て、二人で協力して獲物を狩れたのに、独り占めしようとしたら争いが起きます。もしお互いが譲り合わなかったら殺し合いになりますね。

ですから、私たちは旧石器時代から食糧を集団で分け合ってきました。分け合うメリットもあります。もし、自分が獲物を狩れなくても、安定的に食糧が供給されます。飢え死にしません。

つまり、はるか昔から、人の意見を聞き、思慮深く全体を考えて調整する役割の人間が存在したのです。そして、以上のようなグループを束ねる資質を考えれば、リーダーは内向型だった可能性が極めて高いはずです。少なくとも、自分の利益を最大限に追求する外向型リーダーばかりではなかったのは明らかでしょう。

内向型のリーダーの知恵のおかげで今の私たちが存在していることは間違いありません。内向型の人間がいたからこそ、私たちは存続し、進化してきたのです。

また、進化生物学者のデイヴィッド・スローン・ウィルソンは、人間を含めた生き物の大半の種において、種全体の20%は外部からの刺激に対する反応が極めて慎重であり、そうした個体が進化にとって大きな意味を持っているのではと指摘しています。

すぐに反応せず、注意深く周りを観察して動くことで捕食されずに、身を守り、進化してきたのではないかと推測しています。